こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。
毎日毎日、蒸し蒸しと、トロけてしまいそうな暑さが続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
私は、暑い夏は寒い冬に比べ好きなのですが、この蒸し暑さに身体がついて行け無かったのか、子供が学校から持ち帰ったと思われる、風邪のウィルスに喉をやられて少々ダウン気味です。
ここ最近のラボでは、3~4アイテム程を同時進行で進めており、その中でも、一番早く販売出来ると思われていた、黒崎ペンシルことスラムドッグの発売が暗礁に乗り上げている!?状態です。
| スラムドッグ |
スラムドッグは、アマゾンペンシルの特徴をそのまま引き継がれており、通常のペンシルベイトとは異なり、少々癖のあるペンシルベイトの為か、黒崎さん以外のプロスタッフ及びモニターさんからは、余り良い返事を頂くことが出来ず、販売に踏み切れない状態が続いています。
アマゾンペンシルやスラムドッグのボディ腹側を見て頂くと分かるのですが、ボディ先端から第一フックハンガーにかけて断面がフラットになっています。
| スラムドッグは、アゴの部分がフラットになっています。 |
通常のペンシルベイトのこの部分は、ラウンド形状になっている物が多く、水流を左右に逃しやすい形状になっています。
| 多くのペンシルベイトは、ラウンド形状になっています。 |
水流を左右に逃しやすいということは、ペンシルベイトの首を左右に振らせ易く、ドッグウォークさせ易いと言うことなのです。
一方、アマゾンペンシルやスラムドッグは、断面がフラットになっているために、水流を左右に逃しにくく、直進性が強く現れ、首振りアクションさせ難いタイプになります。
アマゾンペンシルやスラムドッグは、ピッチの細かいロッドアクションで発生させるドッグウォークアクションよりも、ワンストロークを少々長めにとった、ジャーキングアクションに近いロッド捌きで行うと、奇麗なスライドダートアクションを発生させます。
このフラット形状を採用したのは、いくつかの理由があり、アマゾンペンシル及びスラムドッグの最大の特徴として、「カチーン・カチーン」と音を発する、ボディ腹部に設けられたラトルのシステムにあります。
| かん高い音を発生させるクラッカーボール・サウンドシステム。
この音にデカバスは反応します。
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このラトルシステムを最大限に生かすためには、ピッチの細かいドッグウォークアクションよりも、一つ一つのスライド幅を効かせたアクションの方が音を効率良く発することが出来ます。
このクラッカーボール・サウンドシステムは、2個の金属ボールがぶつかり合う事で「カチーン」と甲高い音が発生するのですが、見て頂くと、前方の金属ボールのみ固定され、後ろのボールは前後へ可動出来るようになっているのが分かると思います。
ルアー静止時やルアーアクション後は、後方の金属ボールは後方側へ移動し、ルアーアクション時には後方側にあった金属ボールは、前方側へ移動して、前方に固定された金属ボールと接触し「カチーン」と音が発生すると言う仕組みです。
| ラトルヒット時 |
ピッチの細かいドッグウォークアクションでは、後方側にあった金属ボールが前方側へ移動する前に、直ぐに後方側へ押し戻される現象が起こり、甲高いラトルヒット音が生まれにくくなってしまいます。
前述の通り、クラッカーボール・サウンドシステムを最大限に発揮させるには、ピッチの細かいドッグウォークよりも、S字形スイムベイトをダートさせるようなイメージでロッドアクションをして頂くと、このルアーの性能を引き出せるのです。
もちろん、高速ドッグウォークアクション等の通常のペンシルベイト的な使い方でも良い結果が出ていますが、アマゾンペンシルやスラムドッグにしか出来ないスライド幅の効かしたアクションにより、ラトルヒット音を効率良く発生させてバスを誘い出すと言う、ちょっと癖のあるペンシルベイトに仕上がっています。
又、フラット形状にした事により、通常のペンシルベイトに比べ水押が強く、ボディ側面と繋がる部分のエッジ形状が水流を攪拌し、トゥイッチの強弱により、捕食音やスプラッシュを発生させる事も出来ます。
| 使い手によって、このエッジが諸刃の剣になってしまう!? |
実は、このアマゾンペンシルやスラムドッグの特徴と、全く同じ性質を備えたルアーが、昨年発売されたブータフロッグなのです。
このブータフロッグは、アマゾンペンシルやスラムドッグのように、ルアーボディ前方腹部にエッジが設けられていることで、首振りした時の水押が強い反面、このエッジが抵抗となり直進性を促すため、首振りさせ難くなっています。
| ブータフロッグとスラムドッグ
このエッジとサイド面がシャープな水押を発生させる。 |
首振りさせ難いと言うことは、水流を面で捉えていると言うことであり、ルアーボディを左右へ動かせた時の水押はとても強く、魚に気が付かせると言う効果は高いと思います。
近々、プロスタッフの最終判断が出るようですが、発売はどうなることやら......
それでは皆さん良い釣りを
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