こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。
盆休みは過ぎ去り、猛暑から少しは解放されると思いきや、日中のうだるような暑さはまだまだ続いています。
夜間はちょっとだけ過ごしやすくなった気がしますが、それでも30度越えの室内ではクーラーは欠かせない為に夜間は付けっぱなし、それが祟ってか身体の怠さが今年は酷いです。
やっぱり扇風機の方が身体には良さそうですね。
さて、いよいよ発売開始までのカウントダウンを切った、マグナムバイブレーションは量産体制に入り、9月頭には店頭に並びそうです。
開発ネームは、マグナムバイブやメガバイブなど、いくつかの呼び名がありましたが、正式名称は「マグナムギルソニック」と決まりました。
| マグナムギルソニック
全長105ミリ
重さ35グラム(1.2オンスクラス)
フローティング |
2017年3月初頭から、琵琶湖プロガイドの薮田プロを中心にテストを行って頂き、意見交換を何度も繰り返し、琵琶湖だけでなくあらゆるフィールドでも使用できるルアーに仕上がりました。
開発当初のマグナムギルソニックは、サスペンド仕様として進められていて、晩秋~春期にかけて有効であったピラーニャSSS(スーパースローシンキング)のスロー巻きパターンが有効であったからです。
ピラーニャSSS開発当初、サスペンド仕様も作製しテストしたのですが、ルアー重量が軽量でキャスティング時の飛距離がおもわしくなく、サスペンド仕様を断念した経緯があります。
| ピラーニャSSS |
このサスペンドバイブレーションの欠点は、飛距離が出ないこと、とにかく飛ばない。通常のバイブレーションボディサイズは60~70ミリが多く、ボディが扁平で元々内部容積の小さいバイブレーションをサスペンド仕様にするには、数グラムの僅かなウェイトしか組み込めないために、ルアー全重量が軽くなってしまうからなのです。
完全に日本で定着したビッグベイトルアー。
今の時代なら違和感なく受け入れられるサイズ感までアップさせる事で、ルアーの内部容積が大きくなり、内部ウェイトやラトルが多く入れられる事で、ぶっ飛びサスペンドバイブレーションが完成するかもしれないと、昨年末開発がスタートしたのです。
| 2017フィッシングショーでは、
マグナムサスペンドバイブレーションという名称で出展。 |
年が明けた早春、いくつかのマグナムギルソニックプロトを薮田プロに送り、テストを依頼した。
すると直ぐに答えは返ってきた。早春の厳しい時期にも関わらず、60アップを筆頭に50アップも多数捕獲し、「このルアーは何かもってそうだな」と思っていました。
しかし、日を追うごとに、琵琶湖でのマグナムギルソニックの釣果が落ち始めていました。
季節の進行と共に、水中では目まぐるしいほどの変化が起こっており、ウィードの成長による地形変化でベイトとバスのポジションが日々変化していたのです。
同時期、薮田プロから「このバイブレーションは泳ぐレンジが少し深い、フローティングにして浅いレンジも引くことが出来ないか」と要望があった。
私は「フローティング仕様に!?そんなことをすれば、ルアー重量が軽くなって飛距離が犠牲に・・・」と内心思いましたが、実際に作ってみて検証して見ないと分からないと、早速フローティングモデルを試作して、私はテストを行いました。
ロッドを高くホールドしてリトリーブを開始すると「ジュロロロロッ」と音を発し、水面にV字の波紋を残しながらスイムしてくる。
ロッドティップを下げてリトリーブすれば、1メーター弱ダイブし、リトリーブを止めると、フラフラとボディを左右に揺らしながら水面へ向かって上昇した。
「これはおもしろい!」と一人で自答を繰り返す。
問題の飛距離は心配するほどでもなく、増大した体積のお陰で、フローティングなのにぶっ飛び仕様に完成したのです。
この、レンジを浅くリトリーブ出来るフローティングタイプを薮田プロに送り、テストを行って頂いた。
| フローティングモデルにしたことで、
攻略の幅が広がった。 |
数日後、薮田プロから連絡が入る「今回のタイプは、かなり良い感じです。例えばですが、バスロイドトリプルダブルのようにダブルラインアイに出来ませんか」との意見。
実は、初回プロトモデルのレンジの深いタイプと今回のフローティングタイプとでは、ラインアイ位置の全く異なる仕様で作製していたのです。
バイブレーションの場合、ラインアイ位置がボディ前方にあるほど、スイム姿勢が水平に近くなって、ボディに当たる水流抵抗が低下するために潜行レンジが深くなります。逆にラインアイ位置がボディ後方に行くに連れて、頭を下にしたスイム姿勢に、いわゆる立ち泳ぎになることで水流抵抗が増し、潜行レンジが浅くなるのです。
初回プロトは、ラインアイ位置が前方、そしてフローティングモデルはラインアイ位置が後方のタイプだったのです。
この特性については、薮田プロにも説明していたため、薮田プロは2つのレンジを攻略出来るようにしたいと考えたのでしょう。
それで誕生したのが最終モデルとなった、ダブルラインアイ仕様のマグナムギルソニックなのです。
| ダブルラインアイへと進化。 |
| ラインアイ(銀色)前方使用で約2メーター潜行し、
ラインアイ(黒色)後方使用で潜行レンジ約70センチ潜行します。 |
メインウェイトは、低重心固定ウェイトを搭載する事で安定した飛行姿勢とスイム安定性を実現し、フローティングを最大限に生かすためにラトル個数は最小限に抑えていますが、ボディ内壁ヒットを効率よくさせるための工夫が随所に盛り込んでいます。
| 低重心固定ウェイトが飛行姿勢とスイム姿勢を安定させます。 |
ボディサイズだけでもかなりのインパクトをバスに与えてしまうため、敢えて高音域から中音域を発する、バスにスプークさせにくいラトル素材を選択しています。
| ボディ浮力を損なわないよう、
最小個数のラトルをインサート。 |
小南ギルポップに初採用し、ブルーギルが発するパチパチ音を再現したラトルチャンバーを内蔵。マグナムギルソニックが浮上時に起こす、左右のフラツキアクションと同調して「パチ・パチ・パチ・パチ」と音を発します。
| 小南ギルポップに初採用したラトルチャンバーをマグナムギルソニックにも装填。
このパチパチ音がブルーギルパターンのキモなのか!? |
| クイックハンガー
7グラム前後のスティックシンカーを装着する事で、 3~4メーターレンジを攻略することができます。 |
マグナムギルソニックは、ダブルラインアイを搭載し、フローティングモデルにした事で、トップからミドルレンジと幅広く、テクニカルに攻略することができ、広大な琵琶湖やダム湖だけでなく、野池や河川でも活躍して頂けると思います。
それでは皆さん良い釣りを。 |