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ミッションからの帰還(2)
こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。

気が付けば、あちらこちらで桜も咲き始め本格的な春の到来を感じる今日この頃です。

3月は海外釣行していたこともあり、日本の季節感を身体が忘れてしまっていたためか、一気に春が来たように錯覚しています。

さて、前回の続きのメキシコ釣行の話になりますが、今回、私がメキシコに持ち込んだルアーはハードルアーオンリー、ペンシルポッパー4機種に、ポッパー4機種、S字系スイムベイト2機種、その他数種、今年の春以降発売予定の最終実釣テスト。

事前情報では、日に軽く2桁から3桁は釣れ、55アップも混じるとの話。

この時期のメキシコはプリの魚は殆ど居なく、アフターからアリーサマーポジションの魚が多く、ウェイトのある魚は皆無だろうと予想はしていた。

だが、同時期の日本では不可能な釣果情報に魅せられた私達は、日本から遥か1万1000キロメートル離れた湖に浮かぶこととなった。


立木


2日目、メキシコの早朝は肌寒く、海外釣行において場所を取らず急な雨でも直ぐに着衣出来る、薄手の軽量レインスーツは欠かせません。

バウオ-207BZを着込みボートに乗り込む、朝マズメには必ずペンシルポッパーを使うとガイドに告げると、前日と違い広大なシャローフラットに案内されました。

そのエリアは立木も少なくペンシルポッパーのテストに良いロケーションに見え、早速、数種類のペンシルポッパーをバーサスボックスから取り出し、その中の一つをコブラDGに取り付け、はやる気持ちを抑えての第一投。

前日の続きでアイアンマウスの亜種になり、金属カップの形状の異なるタイプを数種テスト。




このアイアンマウス、金属カップを変更するだけでスプラッシュ音の高低音、飛沫の広がり方、ドッグウォーク時の頭の振り幅等、 全く性質の異なったペンシルポッパーに変貌します。

金属カップの開き具合や取り付け角度を、プライヤーを使い数ミリ単位で調整しながらキャスティングを繰り返す。

プロトタイプのペンシルポッパーを水面で激しくスプラッシュさせていると、バスに補食モードのスイッチが入るのか、時折、ボイルが所々で忙しなく発生し自身のテンションも高まっていく。

平常心を保ちつつ数種類の形状の異なった金属カップをテストしていくに連れ、2タイプだけ異常にバスの反応が良い物がありました。

1つは、アイアンマウスやジャギマウスとは異なった飛沫の出方が特徴のもので、飛沫の発生の仕方や軌道がスパイダーマンの手から発したスパイダーネットのように広範囲に出るタイプ。

そして、フィッシュイーターがベイトを追い詰め、食するときに出る「バフッ」と補食音にも似た音を発生し、高さのある比較的まとまった飛沫を発生するタイプ。

この2タイプに絞り、毎朝テストを繰り返しました。

太陽が昇につれて、ペンシルポッパーへのバスの反応も悪くなった所で、太陽光に当たった立木が醸し出すシェード絡みを移動距離が少なく、時間をかけて攻められるジャギポップの付いたスティングレイワイルドフィネスに持ち替えた。


ジャギポップ 釣りすぎてボロボロ、でもサイズが......

フィッシングショー大阪2015で展示していたタイプを更に洗練し、ドッグウォーク、スプラッシュを出し易くボディ形状を変更。

ジャギポップはボディ肉厚の異なるタイプを2型作り、浮力の確認後、比較的浮力の有るタイプが優れていたため、そのボディを使い、内部ウェイトの配置の異なった物を4種類メキシコに持ち込んだ。

4種類の異なったジャギポップをローテーションしながら立木の間にキャストしていく、キャスト飛距離や飛行軌道には違いがないものの、明らかに一つだけドッグウォーク時のボディ振り幅とピッチ回数、そしてスプラッシュの優れているタイプが存在しました。

実はこのタイプ、日本のフィールドで確認した時点で良い感触を得ていた物であり、場所の全く異なるメキシコの水質でも良い結果が出たので安心しました。

2日目午前の段階で、この湖で相対的にコンディションの良いバスの居場所は、ボディウォーターに面した岬絡み、しかも湖流の弱い風裏と言う事がわかり、ワンドの奥に行くに従いバスのサイズは落ち、所々にティラピアのネストが見られるだけでした。

ただ、昼過ぎ前になると毎日決まって風が湖全体に吹き抜け、ボディウォーターに面した岬絡みとなると風裏も少なく、風のある間は仕方なく風の影響を受けにくいワンドの入り口から少し内側に入った所までを重点的に攻め釣果を伸ばした。

毎日、夕方3時過ぎになると風は収まり、午前と同じような湖上になるのですがペンシルポッパーを投げてもバスの反応は悪く、風の影響で湖全体が一変してしまう感じでした。


今回のメインベイト


トップの反応が悪い時間帯は、ひたすらS字系ビッグベイトをテストし投げ続けた。

フロントボディとリアボディの位置関係、ジョイントの切り角度、ラインアイ位置、ウェイト配置位置、そしてラトルの有無、それぞれ異なるサンプルをテスト。

全て、S字の軌道がわずかであるが違いが見られ、ダート幅にも個性があり、リトリーブ抵抗も一つ一つ異なっていました。

そのサンプルの中で非常に使い易く綺麗なS字を描き、トゥイッチ時のダートのキレが良いタイプはバスの反応も良く、一番危惧していたフッキング性能もクリアー出来、45センチ以下のバスも難なく釣ることも可能であった。

このハードルアーのローテーションを数日間毎日繰り返した。


景色


各々のルアーテストに関しては、有意義のあったメキシコ釣行でしたが、時期的なものと正確な事前情報があまり入ってこなかった事で非常に厳しい展開を余儀なくされた事が少々悔やまれた今回のメキシコ釣行、機会があればまた行ってみたいフィールドではあります。

数年後はモンスターが爆釣するかも......

私は独身時代お金を貯めて3回メキシコのバカラックに釣行しましたが、海外釣行に興味のある方は是非行ってみてください。

今でこそ日本国内でも10ポンドオーバーのバスが釣れるようにはなっていますが、釣りだけでなく日本では体験出来ない事が海外にはあり、それがまた良い経験になり人生の何かに役立つことは間違いないです。

今回のメキシコ釣行に協力して頂きました、今江様、ウェア、ラインを支給して頂いた東レインターナショナル株式会社様、そして私の右腕となったロッドを手配してくださった(有)エバーグリーンインターナショナル様、この場をお借り致しましてお礼申し上げます。有難うございました。

それでは、皆さん良い釣りを

 

 

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