ナベ式ジャバロン必殺シークレット大公開の巻
結構引っ張りに引っ張ったが、ほんとのことを言うと内緒にしたいくらいシークレットな話を今回は公開しよう。 2日目の夜、ワタナベがジャバロンで10キロ超えを達成した秘密を暴くべく、スタッフ全員でVTRチェックをした。そこには驚くべき事実が映し出されていた。
ジャバロンはもちろんテキサスリグでも十分に使えるワームだ。しかし、ジャバロン特有のボディー全体をくねらせ、頭を左右に振る強烈な泳ぎを生かすには ジャバロン140で3.5g以下、ジャバロン160でも5g以下のシンカーでないと、 泳ぎが完全に変わってしまうのである。すなわち頭が重くなりすぎ、頭部、ボディー全体でのうねりが消え、下半身と尻尾のみの小さな動きになってしまうのである。その動きはノーシンカーやネイルリグにしたときの衝撃的動きに比べると、誰が見ても「ショボイ」と思ってしまう動きである。というか、本来の動きが凄すぎて、余りに「人にとっては」つまらなく思えてしまうのである。そのことを製作段階から熟知していた私もフージーも、ジャバロンには重いテキサスを不向きと考え、裏書にもご丁寧にテキサスにするときには 140で3.5g、160で5gまでと書いてしまった。このウエイトでも浮き上がりにくく、大遠投が効くジャバロンは十分に水深2m前後をスイミング出来るため、動きの悪くなる重いシンカーなど使う必要はないと思い込んでいたのだ。そして案の定、今回私は初日も2日目も5gまでのテキサスでジャバロンを引いていたのだ。しかし、ワタナベは頭が柔らかかった。 渡辺が使ったシンカーはなんとその設定を完全に無視した、140には11g、160にはなんと14gというヘビーシンカーだったのである。
しかし、本当に驚かされたのはそのシンカーの重さだけではない。最も衝撃的だったのはその 「巻きスピード」 である。 VTRを見ていた全員が一様に驚いたのは、ワタナベのリトリーブが「まるでルアーを回収しているのかと思うほど高速リトリーブ」だったのである。その速さたるや、スイムベイトとはまず思えない異常な速さだったから驚きだ。クランクにしても速すぎるくらいのスピードだ。ワタナベ曰く、 「イーターの早巻きで喰ったから、そのフォローでジャバロンで全く同じことをやったら更にデカいのが喰ってきて、 引っかからないし、ミスっても何度でも喰ってくるんです。」 話だけでは信じられないが、VTRは全てワタナベの言葉を裏付けるに十分な映像を捉えていた。狙った水深を効率よく、スピーディーにノックするためのヘビーシンカーだったのである。
3日目、私もシンカーを同じ重さにしてスイミングチェックをして判ったことがある。確かにジャバロンのあの強烈なうねりは消えて、一見つまらなくも見えるが、テールは左右に不規則にビラビラと振っている。しかも更に良く見るとボディー半分、すなわち「3つのブロック状の部分」がものすごく全体でランダムに激しく振動していることに気が付いた。その震えはまさに「SHIVER ACTION(恐怖に震える)」とでも呼ぼうか、まさに痙攣したように身を捻らせ逃走する小魚の震えそっくりにも思えた。 ジャバロンはゆっくり引くと大きくうねるが、ヘビーテキサスで引くとボディーが伸びて、ボディー全体が震える「SHIVER ACTION」が発生する。それはあたかも平穏無事に泳いでいた小魚がパニックになって必死で逃走する動きそっくりのようにも思えた。この動きにこそ、バスの捕食本能を刺激する何かが備わっていたのかもしれない。 そして、もうひとつ判ったことは、その伸び切ったボディーがボトムの岩や障害物に衝突した瞬間、クラッシュしたように「グニャリ」と大きく変形し、抜けた瞬間から再び逃走に入る動きに変わる事だ。この動きは今までのいかなるワームや プラグにもない、極めつけの形状変化アクションである。 考えられるとすれば、渡辺の高速スイミングによる、ジャバロンの今まで存在しないボディー全体の震えと、ロックヒット(底当て)した瞬間の極端な姿勢変化に警戒心の強いデカプリがたまらずリアクションしたのではないかという仮説が 立てられる。 しかもこの方法だと根掛りのほとんどしないジャバロンは、驚くほどスピーディーに広範囲を、いかなるカバーにもかかわらずクランク以上の速さでカバーできることになる。 今回のように狙い場がハッキリしないプアーな湖岸線でクランク以上に速く、しかもナチュラルな喰わせる要素を持ち、並のクランクの倍近い超遠投で狙えるルアーはなかなか存在しない。 ワタナベはこの方法で一尾釣れた場所と似たような場所を次々に何度も回り、でかいバスから拾っていったのである。 そして3日目は明らかに私に気を遣ってセーブしながらも10キロを2日目とは全く違う場所で釣ってきた。しかも私が 手も足も出なかったメインバックウォーター付近ですらワタナベは2本のデカバスを手にしている。 3日目、当然私もこの方法を試したのは言うまでもない。しかし、いまだ半信半疑な私が確固たるコンフィデンスを持つ渡辺に勝てるはずがなかった。私はテキサスよりヘビキャロなら動きはベストなはず?、普通のクランク早引きはどうなのか?、とジャバロンの高速引きをしながらも様々な方法を試行錯誤したため、大きく時間をロスしてしまった。
しかし、既に余裕綽々でジャバロン140を封印し、ジャバロン160ヘビーテキサスに変えていた渡辺に勝てるわけもなかった。最後は新技「ジャバロンボトムデッドスティッキング」で再びトドメの50アップをまたしても目の前で釣られてしまい万事休す。 黒帯対決第3弾はキーパー数こそ今は内緒だが、史上最高のスーパーウエイトバトルとなり、渡辺の圧勝で幕を閉じた。
実際、有名スポットのためスレていたのか、ライトリグ、他のテキサス、クランク、バイブレーション、スピナーベイト、ノーシンカー、ワッキー、ライトラバージグ、ジグヘッドワッキー等、渡辺に勝つために考えられる全ての手を使い切って粘ったが、イーターの超高速巻きで手にした1尾以外は、初日ボーズをくらった時と同じく見事に無反応だった。ところが ジャバロン140のヘビーテキサス引きには、このエリアを離れる気にならないほど適度にバイトは続いていたのだ。
とにかく、マッチプレーでこれほどマジ負けしたのは私のバスライフにおいてもほとんど記憶がない。悔しいけれどジャバロンの未知の可能性にいち早く気が付いたワタナベの完勝である。 ジャバロンは間違いなく今までどこの世界にも存在しなかった種類のニュータイプソフトベイトと思う。それ故に私もその使い方の可能性にまだまだ理解できない部分が多分にある。今回のワタナベがそうだったように、今までの使い方に凝り固まらず、あらゆる可能性を探って行きたいと思う。
28年バス釣りをしていても、まだまだ進化の余地が有ることを思い知らされた黒帯VIIIロケだった。 さて、ボーナスの査定でもしましょうか、渡辺君。 使用タックル 今江:テムジンコブラ 12ポンドフロロ ジャバロン140 11gテキサス :テムジンスタリオン 14ポンドフロロ キッカーイーターSP 渡辺:テムジンスティード 10ポンドフロロ ジャバロン140 11gテキサス :テムジンスタリオン 14ポンドフロロ ジャバロン160 14gテキサス |
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