今回の黒帯VIIIのロケは、実際は相当に苦しいロケだった。今回のロケは黒帯初のラージマウスのスポーニング期に
当たり、おまけに3日前に大潮を終えており最悪の潮周りだった。ネストのオスバスを狙うのはビデオでは絶対に避けたいし、かといってポストのメスバスは時期的に最高に難しい。それ故に、今回はまだ産卵を迎えていない寒冷地にある
リザーバーを選んだ。 | 今回使用したのはマーキュリージャビル14フィート。
フォーサイクルの30馬力です。
4人乗りの撮影でも快適で今後の取材主力艇になりそう。
めちゃくちゃ便利になりました。 |
しかも特定外来生物法の影響か、最近はバス釣りに理解のないマイナーレイクではロケ中のトラブルをよく耳にすることから、可能な限りバスに理解のある入漁料等をとって管理してもらっているメジャー湖ということで、今回の湖が決定した。余談だが、広島県土師ダムでも湖面利用者協議会が漁協と共に発足するようだ。また、以前騒ぎになった芦田川もいい方向へ進み始めている。関西でもようやく 早明浦、弥栄ダム、小野湖、旧吉野川、東条湖、銀山湖、旭川、湯原、
池原、七色、日吉など湖面利用協議会や入漁料制、地元歓迎レイクが増えてきた。これもパブコメの時、地元の皆が
危機感を持って活動をしてくれたおかげだと思う。私自身も今回の件を契機に多くのローカル協力者と知り合えたことは大きな力になっている。 | めちゃくちゃ静かで燃費抜群の環境にも優しい4サイクルエンジン。
ジャビル14には3人乗るなら40馬力をお勧めします。
とにかくこのサイズのボートは牽引しやすく気軽で便利。 |
さて、今回の話に戻るが、今回のリザーバーで最も想定外だったことは「季節感のズレ」だ。さすがに高地のリザーバーとはいえ、すでにほとんどの湖が産卵のピークを超えているのに、まさかネストが一つも見られず、見えバスも極僅か、プリどころかプリプリ状態だったことが最大の誤算だった。旧吉野川で言えば4月の頭状態、むしろ土師ダムの3月末くらいに似た最も難しいスポーン初期に当たっていた。しかも減水がひどくにごりも発生、カバーはほぼ皆無、立ち木も少なく非常にプアーな状況になっていた。水温は初日12℃平均でバックウォーターは7℃、気温も初日朝はなんと2℃まで冷え込んでいた。地元の話では先週までは平均10℃しかなく、スポーニングはかなり先との話だった。
当初、時期的には見えバスが浮き浮きでうろつく、スイムベイトに最適なシーズンと読んでのロケ決行だったが、現実はプリメスはステージング状態で深く、非常に警戒心の強い低活性状態。この時点でジャバロンはダメだと思い込んでしまった。この状態ならライトリグ、もしくはサスペンドロングビルになりそうだが、最悪なことにアホほど風が強く、減水でカバーがないうえに、湖は朝から白波状態。繊細な釣りには全く向かない状況になった。
そして案の定、初日はノーバイト・ノーヒットの完全試合。ライトリグもサスペンドもしっかり止めることができない上、バスの居場所が特定できていないためここぞという場所が全然絞れなかった。ジャバロンも投げ続けたがとてもバスが浮いて喰いに来る状況ではなかった。最初からジャバロンのビデオを取る予定だったので本当にこの夜、中止をスタッフと検討した。しかし、それを思いとどまらせてくれたのが店長のジャバロン140での貴重な1尾だった。店長はノーシンカー、しかも立ち木から浮き上がって喰ったと教えてくれ、もう一日だけ様子を見ようということになった。
そして運命の2日目、さすがに坊主になることだけは避けたいのでプリプリメスに風があっても食い気がなくてもたま〜にめちゃくちゃ効く方法を試してみようと思った。それは初日にやらなかった「イーター」である。
ちょっと古いけどこの時期にはメスにはイーターの「高速クランキング」が効く。昔、JBワールド一房ダムでレイクレコードの逆転ビッグウエイトを出したときの方法だ。とにかくこの方法の肝は「ドリルローリング」でボトムに当たりまくりながら
パニクって逃げるベイトを表現すること。このバイブレーションのように痙攣したような回転の速いロールが警戒心の強いプリメスのリアクションを誘う。ミノー型である点も重要。そしてバランスを崩すギリギリの高速リトリーブすることが最大のポイント。パニクって逃げる本物の小魚の動きは非常にタイトで激しいバイブレーションなのだ。イーターは風があってもアホほど飛ぶし、少し深いプリメス好きの2〜3mレンジを長く小突けることが必要なので久々にイーターを選んだ。
この戦略があたってプリメスのレンジを掴むことに成功した。ワタナベも同様の戦法で見事なプリを捕獲成功。やっぱりかなり深い。 | 久しぶりに登場し窮地を救ってくれたイーター。
ドリルロールの動きは健在です。
絶対にこの動きはいいと再確認できた。
このサイズが連発!! |
この イーターのリアクションクランキングのスピードは実際に目で見てみないと実感が湧かないほど早い。
完全にリアクション狙いのため、当てるポイントを決めたらまさにグリ巻き。でもイーターはその名の通りキッカーを喰うルアーという威力は健在。ビデオでも強烈なデカメスのビッグバイトシーンがドカドカ出てくるのでお楽しみに。
| これが今回のボックス。旧吉野川のまんまです。
イーターはフィジェットの下敷きでひっそり肩身の狭い思いをしてました。 |
やっぱりいいルアーは本当に不滅です。ホンマ持って行っててよかった〜(ちなみにタックルは旧吉野川のそのまんま…)。カラーは私もナベも懐かしの市房カラー「ゴーストシルバー」、元祖クランキングミノー「キッカーイーター」大復活の予感です。 | いまさらながら元祖クランキング・ミノー「イーター」のポテンシャルには驚きました。釣れない時こそ釣れるルアー、それが狙いでしたモンね。
クランクの動きをミノーに再現するのではなく、ミノーならではのパニック波動を出せるのがドリルロールです。 |
何とかイーターでワタナベも私も場所は違うがビッグフィッシュを確保したのだが、その後更なるパターンを求め様々な方法で全域を走り回りキーパー50cmを狙っていくが、結局、反応したのはイーターのみ。ただ、確実にプリメスはまだ深く、リアクションでしか喰わないことは判ってきた。死に物狂いで全力全開、テキサスで1500gとキーパーを何とかフィネスリグで仕留めたが、全力全開にもかかわらず結果は・・・DVD発売まで内緒です。
そして終了寸前の夕方、朝一に入った流れ込み近くのワンドへ戻ったとき、渡辺艇の姿が見えた。
のっぺりとした砂のバンクでなにやら大ファイトしているではないか!
「デカい!!マジですかぁ!!」
なんとワタナベは何の変哲もないただのバンクで見事な55cmオーバー(現場で計ったら55オーバー、検量では54.5に縮んでました…)!!
しかも既に10キロを軽く超えているとのこと!呆然としながら一言・・・イーターで2本ビッグバスをとっていたことは聞いていたが、余りの衝撃に愕然とした。
「なにで釣ってん???」
「ジャバロンミニの○○○の○○○○です!」
「ウソやんっ!?!、それやったらジャバロン動いてへんやんけ???」
「そうですねぇ…でも良く見たらなんか違う動きしてますよ。それに○○○○です。」
「?#*?@!!!マジでぇ〜!!!」
「どこで釣れるねん?」
「結構何処でも釣れましたよ。」
「どうやってやんねん???」
「こんな感じです。」
「?#$@?!!¥!!」(唖然呆然理解不能)
結局この日は完全に惨敗。ワタナベは完全にパターンを掴んでいた。間違いなく明日も釣ってくる自信があるのだろう、鼻の穴が全開に広がり、心なしか顎が上を向いている。余裕綽々、下剋上達成である…。
| 大概ジャバロンを投げ続けたが、私には釣れず、
ジャバナベはバコバコです。 |
余りに腹が立つのでその夜、社長命令という職権乱用、スタッフ全員でVTRチェック!
そこには驚くべき真実の映像が映っていた。確かにこの方法は有りは有りだ。しかし、どうしても納得がいかないこと、
それは ジャバロン独特のワイドな動きが完全に死んでいること。そしてこの低水温、しかも何でも釣れる状態ではなく、ほとんど皆無に近いほど喰わない状況下でよくそれで釣れますね???と誰もが思ってしまう常識外れの○○―○にあった。ところが何よりもそれが明らかに釣れている事実がそこにはハッキリとある。しかも全て破格にデカイ。
何でやねん????ジャバナベ様教えてちょ〜だい!!
・・・TO BE CONTINUED(続く)・・・ |