K.imae Today's Tips 2438『ロデオライドを継ぐ者』

夏の嵐のようにTOP50にその名を轟かせ、
幾多の伝説を残し自らトーナメントの世界を去った馬淵利治。

100年に一人の逸材と自分に言わしめたその突出した才能は、
拘り抜かれた彼のタックルにも受け継がれている。

その馬淵の釣りを完璧に具現化するために(株)イマカツとして
初めて手がけたオリジナルロッドが「ロデオライド」。

限定生産だったが、今も尚、愛用者も多く、
自分も未だ2本の機種を適宜愛用している。

ルアーをプロデュースするプロは多いが、
自分の名を冠したロッドシリーズを持てるプロ選手は数少ない。

しかし逆に日本の超一流プロはほぼ例外なく自分のロッドシーリズ、
ロッドブランドをプロ活動の要にしている事がほとんどである。

タックルの中でも最高額商品であるバスロッドは、
それを背負える責任と資格が伴う。

当然、それを販売するメーカーにも大きなリスクが伴う。

故に何よりロッドに名を冠する事は、自らのコンセプトの正当性を
公に証明する圧倒的な実績と実力、発信力が必要になる。

それを証明し、評価されればプロとして大きな成功を
手に入れることも可能だが、その逆もまた真なりだ。

プロが名を冠するロッドとは、そのプロ自身の分身だとも言えるかもしれない。

















イマカツでは、TOP50プロスタッフは自動的にエバーグリーン社の
カレイドシリーズが同時にサポート供給される契約になる。

だが、何の虫の知らせか、三原がイマカツプロスタッフに加入したとき、
三原だけにはこのカレイドサポートを自分は適用しなかった。

敢えて既に生産を終了していた「ロデオライド」を
三原にはサポートとして渡していた。

三原は元々、東条湖シリーズからTOP50昇格権を得た折、
経済的、ボート的な問題から参戦を断念せざるえな状況だった。

しかし丁度その年、レンジャーをサポートで乗り換えた馬淵に貸していた
「フェニックス号」の乗り手がなくなったため、

三原にこの「フェニックス号」を参戦のサポートとして与えることで、
三原のTOP50参戦が決まった。

自分、馬淵、三原と20年以上、乗り継がれた歴戦の雄「フェニックス号」は
今や間違いなくTOP50最多勝艇であり、そして自分のバス釣りの原点
である東条湖で三原と出合った事といい、
何か運命的な縁を感じるものがある。

自分は出会ったときから馬淵と三原を良く比べてしまうが、
薄々、出会った当時から三原の隠された馬淵をも超える潜在能力を
予見していたのかもしれない。

それゆえ、三原に自分の分身であるカレイドを
サポートする事に違和感を感じていたのかもしれない。

ちなみに馬淵はフェニックス号を手放すのを最後までぐずっていたのを今も思い出す。

それほどこのボートに一方ならぬ愛着があったのだろう。














そして昨年オフ、正直、成績的にはまだ時期尚早かと思っていたが、

東の竿の匠神谷勇紀に並ぶ、西の変人ポッキー青木との出会いが、
三原にちょっとした化学変化を起こさせ始めた。

まあ、ポッキー青木は最初は怪しさオヤク度満点だったが、
3年TOP50で寝食を共にし、その独創性と真面目さに信頼を置くようになった。

そしてEGロッド製作部との合同試作を開始し、ロッドビルディング、
さらに富士の協力によるガイドやグリップ設計に
劇的な進化をもたらせてくれたことも大きかった。

その青木君が三原にグラビアスのリールサポートを申し出た事から、
一度青木に好きな竿を作ってもらってみろと三原に指示したのが昨年オフだった。

ただ、一人でブランドを背負えるとはこの時、正直まだまだ思ってはいなかった。

三原がロデオライドの2機種をとても気に入っていた事、
フェニックス号の歴史を背負っていた事から、
三原のために限定だったロデオライドブランドを
いつか復活させてもいいかな…程度の感覚だった。

それは今後、三原がもしバスプロとして生きていきたいなら、
経済的にも絶対に必要な事だとも知っていたからだ。

幸いな事に、青木君の竿工房は自分の自宅から20分程度、
三原の自宅からも小一時間程度で来れる近場であった事が
何よりも開発のスピード感を劇的に向上させてくれた。

この思いついたらすぐカタチにできる開発力は、
大メーカーでは絶対に不可能なメリットだった。

夜な夜な秘密基地でスクラップ&ビルドを繰り返すうち、
TOP50開幕戦前にはなんとも驚くような独創的ロッドが2本、ほぼ完成域に達していた。

その中から自分のポッキーロッドも生まれてきたのだ。
















自分の武器を自分で作って戦う、自らのコンセプトをスタイルを徹底して具現化する。

その信念が今年、これほどのカタチになって公に証明されるとは、
ある程度は予測してはいたが、三原はもはやその予想の
遙か斜め上を行く驚愕の結果と戦績を出し続けている。

三原の超進撃はまさに自らデザインした2本(+α)によって
完璧なまでに支えられているといってもいいだろう。

まだ正確な詳細は明かせないが、業界初の3ピース構造の
超攻撃的三原虫サイトスピニング「○○○○」、
そして破竹の進撃を支えたギルロイドJrの「○○○○○○」。

どちらも実物を手にしたら、その異形の姿に一瞬今までのフィネスの常識が、
ビグベロッドの常識が混乱するかもしれない。

バスボートのカッコ良さ、見栄えの派手さ故に、日本の狭いフィールドでの
不便さを我慢してバスボートに乗りたがる若者が多いプロの中で、

戦略上の絶対的優位性を20年昔のジャビルボートに見出し、
バスボートに全く興味を示さない三原の徹底した超合理的実戦主義的考えで
ロッドを作るとこうなった…と言う感じだ。

三原虫専用サイトスピニングは、ソリッドティップ繋ぎの事実上3ピースロッド。

オカッパリでも持ち運びが便利だから2ピースって理由は1mmもない。

要は、本気で55cmクラスを3ポンドラインで獲るために、
破格の太さを持つバットパワーと、三原虫30やスキニーイール4を
一糸乱れぬ矢のようなノーモーションで投げられる特殊ティップ。

それを折れずに強靭に仕上げるには、2ピース構造のバット&ベリーに、
曲がるが折れない高強度ショートソリッドティップ、
そしてそこに常識外れの極小マイクロガイドを独自セッティングという奇抜さだ。

三原虫30をノーモーションで投げたときの
ティップの皆無に近いブレの無さと収束の速さは驚愕に値する。

しかし、それ以上に61にもかかわらず、そのバットの
とてつもない強靭さと見かけから7フィートロッドかと勘違いするほどの
瞬間的な掛けの速さと爆発的リフティングパワーを発揮する。

これはとても写真では伝わらない真実である。

ロデオライドの継承機種として開始した三原のロッドは、
既にロデオライドの域を完全超越したとんでもない怪物ロッドになってしまった。















同時にギルロイドJrのロッドメイキングも常識外のセッティングである。

まず実物を見たら、そのティップの桁違いの太さに
「これで本当にいいの?」と思う人が多いだろう。

スピニングのグリップの無骨さも大概だが、
ギルロイドJrロッドのムキムキムチムチ感も別格だ。

コストに上限を付かなかったが故に、
非常に高価なブランクスを用いた最新鋭の機種だが、

見た目はひるむほど無骨でワイルドの一言だ。

しかし、これもひとたびキャストしてみれば、
彼が何を狙って作ったのかが一目瞭然で解る。

無駄や飾りを完膚なきまで削ぎ落とした
超実戦最優先主義の三原らしい答えがここにある。














当初「復活のロデオライド」として始まった新ロデオライド“リバイバー”。

しかし、既にロデオライドを完全にロッドとして超える存在になったリバイバー。

もはやロデオライドはサブネームに過ぎない。

馬淵のTOP50年間最高位は3位。

三原が今年、これを軽々と越えていけるかが非常に楽しみである。

そして最終的に自分を超える戦績と実績を長きに亘って残し続けて欲しい。

 

 

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