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オリジナル越えは難しい!?
こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。

ここ最近、日の出が早くなったためか、午前5時頃には辺りは薄明るくなり始め、なぜか毎日この時間帯に目が覚めてしまうのは、オジーの仲間入りの証でしょうか!?

その後の二度寝が、また格別なんですがね。


バスロイドJrTDとベビーバスロイド(下) 
オリジナルサイズと遜色ないアクションに仕上がった。
全長112ミリ
重さ22グラム


さて、最近のラボでは、近日発売であるベビーバスロイドの開発から離れ、量産体制は順調に進み、安堵しようとしている間もなく、昨年末から難航中であった黒崎ペンシルこと、スラムドッグの開発が大詰めを迎えてきたところです。

デカバスの聖地、奈良県池原ダムでデカバスを追い求めている黒崎さんの要望で、エバーグリーン製、アマゾンペンシルのスケールダウンモデルの開発がスタートしたのが昨年の秋。


オリジナルアマゾン(一番上)とスラムドッグ


池原ダムにおいて、アマゾンペンシルのアクションと音にバス達は狂ったように反応し、デカバスを追い求めるアングラーのマストアイテムとなっているようです。

しかし、オリジナルアマゾンペンシルは、ビッグベイトに匹敵するほどのサイズ感の160ミリ、43グラムという、ミディアムクラス等のタックルではキャストするのは困難であり、タックルも自ずとヘビークラスになってしまいます。

自発アクションを有する他のビッグベイトと異なり、アングラー側が常にルアーへ命を吹き込まなければならないペンシルベイトは、ロッド操作が頻繁に必要になり、タックルがヘビークラスになればアングラー側の負担も増えてきます。

依頼されたコンセプトとして第一に、アングラー側の負担を軽減するためにオリジナルサイズをスケールダウン、第二にオリジナルアマゾンペンシル並にラトル音が大きいこと、という条件を与えられました。

オリジナルアマゾンペンシルをスケールダウンするのは簡単、でもラトル音をオリジナルアマゾンペンシルと同等にする!?ここからが長い道のりでした。

先ずは叩き台が必要であり、とりあえずオリジナルアマゾンペンシルを単にスケールダウンしたサンプルを作製してみた。


ファーストプロト
フェイスのディテールはオリジナル顔に一新、
この特徴的なエラにはある効果を期待したのですが・・・


ファーストプロトは、アクション、ラトル音共に全くダメ、ドッグウォーク時に強烈なスプラッシュを発するように顔のエラに細工したのが裏目となり、良いスプラッシュは出るものの左右スライド幅が狭く、ペンシルベイトとしては不合格。

そして、ボディスケールダウンに伴い、設置するラトルもサイズダウンによりショボいラトル音になってしまった。



セカンドプロト
フェイスデザインを更に一新。



セカンドプロトでも、フェイスデザインを変更、このペンシルのメインラトルボールサイズを、オリジナルと同じサイズを設置できるようにしました。



腹部にはオリジナルアマゾンと同じ径8ミリの金属球を設置、
これによりオリジナルと同等のラトルヒット音が生まれる。


オリジナルと同じサイズのラトルボールを設置するという事は、ルアー全体のウェイトバランスを一から設定し直すということで、デスクの周りはプロトの山でいっぱいに。


プロトの山


ウェイト設定作業を幾度となく繰り返し、ようやくオリジナルに近いペンシルベイトができあがり、早速、黒崎さんのもとへ発送することに。

テスト結果はいかに・・・

アクションは申し分ない出来だったようですが、ラトルヒット音が満足できるほどのレベルには達していないらしく、オリジナルアマゾンペンシルに匹敵するほどのラトル音を出して欲しいと、再度強い要望がありました。

ボディサイズが小さい為に、オリジナルアマゾンと同等のラトルヒット音は、物理的に不可能とアタマの中では分かっていたのだが・・・

そんなある日、黒崎さんのから一つの提案依頼が舞い込んできた。

ルアーボディ後部にある、2つの金属ボールの可動域を変えた物を作って欲しいという依頼でした。


オリジナルアマゾンペンシルと同じ、
リアにあるフリー状態で設置している2つの金属ボール。


どうやら黒崎さんが重視していたラトル音は、ルアーボディ腹部に設置している「カチッ」と音を発する部分だったのです。

リア部分にあるフリーに設置している2つの金属ボールから発生する「ガシャガシャ」音が、ルアーボディ腹部に設置している「カチッ」というラトルヒット音を不明瞭にしていると気が付いていたのです。

リアボール2つの可動域を変えた物を3タイプ作製し、黒崎さんへ再度テストをお願いしました。

リアボールの可動域を狭めれば狭めるほど、「カチッ」という音は際立つけれど左右への奇麗なスライドダートアクションが発生しにくくなるという結果に。

3タイプの中で一つだけ、アクションに影響が無い物が存在し、最終的に黒崎さんからOKを頂く事ができた。


金型修正に入り量産に向けて鋭意進行中です。


それでは皆さん良い釣りを

 

 

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