こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。
最近、急激に蒸し暑く寝苦しい夜になり、クーラーの有り難さが身にしみて良く分かる今日この頃ですが、皆さん夜は快適に眠れていますか。
子供の頃、我が家にはクーラーという物はなく、扇風機のみで過酷な夏を乗り切っていましたが、昨今の日本列島の猛暑は当時とは違い異常なのか、扇風機だけでは身体がオーバーヒートしてしまいます。
やはり地球は温暖化に向かっているのでしょうか。
さて先日、ここ最近釣れていないという情報通りの琵琶湖にて、ギルロイドの最終調整を行ってきました。
メキシコに持ち込んだワンオフボディをベースに数種類金型を起こし、幾つかの問題点をクリアーしてようやく完成したギルロイド。
| メキシコに持ち込んだ初期型のギルロイドブーツテール。 |
今回のテストでは、通常のS字形フラットテール仕様ではなく、ゆっくり巻けばテールのみが動くI字系、加速させると水流を受けた超バルキーテールが左右に力強くウォブリングし、広範囲に散ったバスの側線に訴えかけるブーツテールを装着したギルロイドです。
| アクションにOKの出たワーム素材のブーツテール。 |
このブーツテール、素材は最終的にエラストマー素材に行き着いたのですが、ここに至るまでには幾つかの素材が候補にありました。
その一つにワーム素材があり、ワーム素材特有の柔らかさの中にも適度な張りのある非常に優れた物ですが、ワーム素材はブリードするために、ワームに含まれている可塑剤と呼ばれる物質がルアーボディ素材の樹脂を犯してしまい脆くなり、最終的にはクラックが入って欠けてしまうのです。
また、ワーム素材ではキャスト時の衝撃でトレブルフックがワームに突き刺さってテールをロックしてしまい、泳がなくなるトラブルが多発しました。
そうして辿り着いた素材がフラットテールにも使用しているエラストマー、素材に張りがあって針は刺さりにくく、ワーム素材のように千切れることも殆どありません。
しかし、プロトのブーツテールでアクションにOKが出た素材はワーム素材、ワーム素材とエラストマー素材は全くの別物、そこからが長い道のりだったのです。
OKの出たワーム素材のブーツテールと、全く同じサイズに作ったエラストマー素材のブーツテールでは理想とするアクションが出ず、やはりワーム素材には勝てないのかと……諦めかけはしませんでしたが、形状次第ではワーム素材のアクションを再現出来るだろうという確信はありました。
そして数ミリ単位刻みの大小さまざまな試作を繰り返し、ワーム素材のアクションをエラストマー素材で再現する事が出来たのです。
| エラストマー素材のブーツテール。 |
ブーツテールを装着する事で、クランキングのように広範囲を汲まなくスピーディーに攻める事が可能になりました。
スローリトリーブでは、ブーツテールメインでボディーをS状に動かさないナチュラルアクション、ミッドからファーストリトリーブ時には、ルアーボディがロールを伴ったフラッタリングS字アクションへと変換します。
このギルロイドブーツテール、イマカツプロスタッフによる好結果は頂いており、特に今年はイマカツプロスタッフ三原氏による三原巻がブームの兆しが見えています。
| ギルロイドブーツテール(上)
ギルロイドフラットテール(下)
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・仕様
全長 140mm(フラットテール装着時)
155mm(ブーツテール装着時)
重さ 75グラム(2.6ozクラス)
出荷までもうしばらくお待ち下さいね。
それでは皆さん良い釣りを
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