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トゥルーチューン
こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。

年末から来年早々に発売予定である、数種類のアイテムを同時進行で開発していますが、ようやく最終調整に入った物も出てきました。

イマカツでは本金型の作製に入る前に簡易金型を作製し、この段階で仕様の違うルアーを何タイプも作り、テストを重ね、全てのテストにクリアーした簡易金型モデルを元に本金型へと移行するのです。

最初に出来上がった簡易金型から打ち出されたプラスチックボディを入念にチェックする。




簡易金型といっても最終形状に近い物で、本金型と差異の無い物です。

指定したボディ肉厚になっているか、ボディ重量は許容範囲内か、ラインアイの角度はマスターモデルと寸分違わないか等、木目細かく見ていきます。

ボディチェックを終えると、ウェイトボールや八の字環などをボディに組み入れ、水漏れの無いよう細心の注意を払って溶剤で接着していく。

次に、ルアーの動きが判断し易い色にエアーブラシで着色、トップコートを施し、スプリットリング、針を取り付けてスイムテスト用のプールでの第1投。

気の張り詰める瞬間......

何度も繰り返してきた作業ではありますが、このファーストキャストは期待と不安が交錯するのです。

スイムテストプールで個々の簡易金型モデルの概要を把握し、各チェック項目を検証すると同時にマスターモデルとの比較も行います。

次にフィールドへ出向き、数種類の簡易金型モデルを比較検討し、優れているものを見極め選定していく。

この工程を経て、選ばれし生き残った簡易金型モデルとマスターモデルとの最終比較テストを行うのです。

かなり稀ですが、中には一発でマスターモデルよりも勝っている簡易金型モデルが出現する事も時にはあります。

そして本金型へと......




さて、皆さんはプラグの性能を100パーセント引き出せているでしょうか?

まず基本的な事ですがルアーが真っ直ぐに泳いでいるか否かで、そのプラグが本来持っている性能が発揮しているかどうかわかります。

プラグが真っ直ぐ泳がないと最大潜行深度に達しないばかりか、障害物接触後に軌道修正が上手く行かず根掛かりの原因になります。

千鳥系プラグも同じことが言えて、各々の千鳥プラグの最大千鳥幅に達した瞬間に、千鳥た方向とは反対に軌道修正するようにしなければ水面に飛び出したりして性能を発揮しません。




そこで必要になってくるのがトゥルーチューンで、釣り糸とプラグ本体とを繋いでいる部分のプラグ本体に埋め込まれている金具部分、通常ラインアイと呼ばれる箇所を左右どちらかに曲げてルアーを真っ直ぐ泳ぐように矯正する事で、メーカー問わず工場出荷時のものは多かれ少なかれトゥルーチューンが必要です。

特にミノーやシャッドなどの小型プラグは大型プラグに比べ、浮力も小さく水流に影響されやすい為、シビアなトゥルーチューンが要求されます。

トゥルーチューンの基本的なやり方は、ルアーを手前(自分側)に泳がした時に、





に曲がって泳ぐならラインアイを




に曲がって泳ぐならラインアイを


曲げるだけです。

簡単でしょう?

文章では非常に簡単に表現出来ますが、いざやるとなるとラインアイを曲げる力加減や曲げ方に繊細さが要求され、ラインアイを少し曲げては泳がし、また少し曲げては泳ぎをチェックするという根気強さも必要です。

叉、トゥルーチューンする時に使う工具の種類によって容易に出来るもの、できないものが存在し、市場にはトゥルーチューン専用工具が見受けられますが、私の場合は使い慣れたプライヤー1つで泳ぎを修正しています。


スプリットリングプライヤー


皆さんは、必ず一つは携帯しているスプリットリングプライヤー、名前のとおりルアーのフック交換時には欠かせないスプリットリングを外すためプライヤーですが 、プライヤー先端の独特な形状の為にラインアイをガッチリ掴む事ができず トゥルーチューンには向きません。


ロングノーズプライヤー


このプライヤーは、バスの口の奥に掛かった針を外すのに大変便利なプライヤーですが、掴む部分(アゴといいます)が細く長い為にタワミ易く、掴む力が弱いためにトゥルーチューンには不適格です。


ショートノーズプライヤー


そして、私の使用しているショートノーズプライヤーは先端が適度の太さでラインアイを掴み易く、アゴが短いために力を加えるのが容易でラインアイを曲げる時の微調整が容易にできます。

ただし、クロムバナジューム鋼という素材で作られている非常に硬度の高いプライヤーに限ります。

同じショートノーズプライヤーでもステンレス素材を使用したものは硬度が低く、すぐにアゴのエッジ部分が丸くなり、滑り止めのギザギザ部分も無くなってしまいます。

叉、プライヤー本体にクロムメッキを施したタイプは、見た目はピカピカで綺麗ですがアゴが滑りやすくトゥルーチューンにはあまり向かないでしょう。

画像をご覧になってもわかると思いますが、このクロムバナジューム鋼製のプライヤーは錆びます。

一般的にクロムバナジューム鋼製プライヤーは錆に強いと謳った商品が多いですが、プラグのスイムテストに使っているため、頻繁に水に接触するためか錆びに強いとあまり感じません。

メンテナンスを怠るとプライヤー全体が錆、また可動部が次第に錆び付いて固着してしまいます。

クロムバナジューム鋼素材のショートノーズプライヤーを長持ちさせるには錆止め剤を施工すると良いでしょう。

錆止め剤には大きく分けて、錆を薬品で落とした後にコーティングするものと、錆を科学反応の力で錆の進行を止めるものの2種類があります。

オススメは後者の方で、私のやり方を紹介しましょう。

まず、 クロムバナジューム鋼素材のショートノーズプライヤーを 一旦軽度に錆びるまで使い続け、全体にうっすら錆が発生した後に錆止め剤を塗るのです。

この薬品は錆と反応するために、錆の発生していない物に塗っても効果がありません。

後、忘れてはならないのはプライヤー全体に言える事ですが、可動部には定期的にオイルを射しましょう。

この錆止め剤はCAR用品専門店やホームセンターのCAR用品のコーナーに必ず置いてありますので入手は簡単です。

ぜひ皆さんも、トゥルーチューンをマスターして頂いてプラグの性能を引き出してやって下さい。

最近、手乗りバスが増えています。

それでは皆さん良い釣りを

 

 

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