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デッドスクリューの秘密!!
こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。

ここ最近、蒸し暑く本格的な夏が来たと思いきや、突如、台風や低気圧が発生するなどジメジメとした安定しない気候が続いています。

特に今年の関西地方は、大きな地震や大雨による天災に見舞われ、交通機関の乱れによる帰宅難民が至る所で溢れ、やや疲労困憊気味な7月を迎えています。


全長130mm
重さ28g


さて、本格的なトップウォーターシーズンに合わせ、今月頭から店頭に並び始めたデッドスクリュー。

開発のスタートは、アベンタクローラーを筆頭とする、デッドスローリトリーブでも僅かな水流を掴み、アクションへと変換するクローラーベイトの利点を、プロップベイトに応用出来ないかというところから始まりました。

開発目標は、いまだかつてないほどのデッドスローリトリーブでも、前後のペラが回転し「カチカチ、チリチリ」とシャッドクリック音を発するプロップベイト。

シャッドクリック音を発生する仕組みは、ペラの穴を円ではなく四角や三角にすることで、プロップが回転する度にヒートン軸が一辺から一辺にスライドし、ヒートン軸がペラ穴の一辺にヒットすることでクリック音を発生するのです。


ヒヨコブランド製、イマカツデザイン
「クアドリフォリオプロップ」搭載。

ヒートン軸とペラ穴との接触によって、
シャッドクリック音を発します。
 (見易いようにヒートン頭をカットしています)


しかし、ペラの穴を四角や三角にするとペラの回転は著しく悪くなり、デッドスローはおろかミディアムリトリーブでさえも安定した回転を得られませんでした。

そこで、ペラの羽を通常の2倍、4枚羽のペラにして水の掴みをよくしたら良いのではないかと試作してみたのです。

試作した4枚羽ペラは、僅かな水流を受けただけで直ぐさま回転し出す、非常に回転レスポンスの優れた特性を持ったものでした。

とはいえ、羽の枚数を倍にするということは、単純にキャスト時の空気抵抗が通常のペラの倍になってしまい飛距離が出ない可能性が、という不安が頭を過ぎりました。

ルアーの飛距離を出すためには、いくつかの条件があり、その一つにキャスト時の飛行姿勢が乱れず、回転しないで矢のように真っ直ぐに飛ぶと言う事があげられます。

そこで、内部メインウェイトを出来るだけ低重心にして、ルアーが飛行中にバランスを崩しにくいウェイト配分にしたのです。


メインウェイトを低重心化することで、
飛行姿勢が安定し十分な飛距離を確保しました。


また、ボディーデザインは、スリムなミノー形状にすることで空気抵抗を減らし、同時に、スリムな形状は、魚のフックアップ率に貢献することが出来たのです。


トリプルフックを3カ所設置。
フロントフック2カ所#4
リアフック#2


ダブルプロップを搭載したルアーで、フロントペラが水流を受け流すことで、フロントペラ後方に乱水流が発生し、リアプロップの回転レスポンスが悪くなる現象が多々あります。

デッドスクリューの場合、ボディ後方を水流抵抗が低く、整流効果のあるボディ形状を採用する事で乱水流を整合させ、また、リアのペラをフロントのペラより1.2倍大きい物を搭載して、フロントペラよりも更に水の掴みを良くすることで、低速時の回転レスポンスをフロントペラと遜色ないほどに向上させました。


整流効果のあるラダー型リア形状。

コスト度外視のフロントとリアを個別に設計。


今でこそ新奇性はないものの、最近のプロップベイトには普通に採用されるようになったリップ付きプロップベイト。カレカ110、130やカレカBITURBOに初採用しましたが、単に水の掴みを良くするだけでなく、フロントボディが水中に入り込み、ボディが水を押し分ける事で大変強い水押を発生しているのです。


リップの潜行効果により、
フロントボディが水を押し分け、
水面にV字の軌跡を発生させます。


また、リトリーブスピードを上げるとリップの潜行力によって、さらにフロントボディが水中に引き込まれる事により、必然的にリアボディの喫水が浅くなる事で、リアのペラはより多くの空気をはらみ、バズベイトのような「プロロロロロッ」という音色を発しバスを魅了します。


リトリーブスピードを上げるにつれ、
より前傾姿勢になるとともに、
プロップの音色が変化します。



そして目を引くのが、左サイドのみに設置されている大きく張り出した胸ビレ。

通常、前後のペラのひねりを逆に設定していれば、ペラの回転パワーは相殺されてボディの傾きや捻じれが発生しにくいのですが、デッドスクリューの場合、水流抵抗のある4枚羽プロップをボディ前後に配置し、またフロントとリアのペラサイズが異なる為、前後のペラのひねりを逆に設定していても、ペラの回転パワーに伴うボディの傾きや捻れの発生が起きやすく、スイム姿勢が乱れてしまいました。

そこで、カレカで養った技術を応用することで、ボディの傾きや捻れを解消し、直進性能を手に入れることが出来たのです。


約25度の角度で取り付けられた胸ビレが、
ダウンフォースを生み出し、
ペラパワーによるボディ傾きを排除しました。


この夏、デッドスクリューが熱くなる!!


それでは皆さん良い釣りを

 

 

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