K.imae Today's Tips 1433『越えるべき壁』

本来、今年の春発売する予定だったバンビシャッド。

正直、「スコーン」がコレほど難しいものとは思っていなかった。

シャッドテールとジグを足して威力を倍加する。

シャッドテール単体でいくらよくても、組合すと全然ダメになる。

スコーン専用のシャッドテールは、普通のシャッドテールとは
全くベツモノなのだと気が付くまでに1年かかった。

おそらく試作金型は過去最高数。

かなりいい線まではいった。アレとほぼ互角、、、まで。

だが、本音で言えば、心のどこかで僅かだが「負け」ていると感じていた。

それは彼も同じだったと思う。負けてはいないが勝ってはいない。

後発にとって、引き分けは負けと同じ。

そこに目を瞑るか。宣伝力でカバーするか。大人の事情が心を迷わす。

試作金型投資、売り上げ予算、経費回収、従業員経費、海外出張費…
計画通りにいかない場合、それは企業にとって大きな負債を生む。

開発はタダじゃない。数百万など一瞬で消えていく。

その決断を、一般アングラーに任せる事はあまりにも重責だ。

知らなければ、好き勝手言えるが、開発過程でそれを知ってしまった上で、
それでも「NO」と言う勇気は並大抵のものじゃない。

だからこそ、その決断は自分がする責任がある。

最後の責任は自分にある。

偉大な先駆に挑むなら「完全勝利の唯一無二」でなければならないのだ。
















6月、一度、カタチを全て白紙に戻し、
アレの動きを超えるであろう、カタチを動きから逆算し試作した。

流体抵抗を計算し、動きからカタチを決める手法。

結果、アレを超えた。

しかし、その結果、ソレはアレとうり二つになってしまった…。

これを彼に見せる事は無かった。

同じ方向性を求める限り、どの道を通ろうとも、終着駅に既にアレはいたのだ。

「神」とか「奇跡」とか、大袈裟だと簡単にいう輩もいるが、
本質を限界まで突き詰めた人間にはその表現が決して大袈裟でないことに気が付く。

偶然か必然か、確かにそれは時に存在する。

ただ、神も奇跡も、多くの人が同じフィールドで使うように
なれば、「普通」となり、その「逆神」が出現する。

それがエサではない、ルアーの宿命。

独占したければ完璧に隠し続けることだ。

しかし、隠せば賞金で絶対食えない日本のトーナメントなど、自己満足だけのオタク世界。

切り開き、証明し、「気付きを明かす」ことの無限の繰り返し、
終わりの無い野生との知恵比べ。

それがルアー開発の宿命。

今期、バンビシャッドを開発するに当たって、神を徹底的に分析し、
神を再現するところまでは漕ぎ着けた。

この1年半に亘るスコーン研究は決して無駄ではない。

今度は神の再現ではなく、その神に自分の経験と執念を注ぐ。

その目的はTOP50で、スポンサー枠を超えてでも選手が
本気で使いたくなる最強のスコーンを生み出すこと。

ステルスに並び賞される唯一無二のスコーンを生み出すこと。

必ず来年ショーで、全てを超えた唯一無二の新生バンビシャッドを生み出してみせる。

 

 

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