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トゥルーチューン2
こんにちはルアーデザイナーの長井です。

早いもので今年も残すところ1ヶ月半を切り、来年のフィッシングショーの準備もそろそろ本腰を入れ始め、月々の生産に新製品開発のみならず、相変わらずバタバタとした毎日を送っています。




そろそろ皆さんも使って頂いておられるハイピッチウォブンロールクランクベイト、IK-300RSカオスダイバーは、日本中の3メートルレンジにいるバスが目にしているかもしれませんね。

カオスダイバーをキャストして、リトリーブした瞬間、ロッドティップから伝わる振動に、皆さんは何処か物足りなさを感じるかもしれません。

カオスダイバーは、通常のクランクベイトと比較して、ウォブリングアクションよりもロールアクションを強調したアクション設定にしているために、引き感が物凄く軽いのです。

なぜ、ロールアクションを主軸に設計したのか、それは単純にクランクベイトの多くが、波動の強いウォブリングアクションばかりなので、同じ物を作っても新鮮みが無いというのもあるのですが、日本のように狭い国土に有るバスのフィールドは、琵琶湖や霞ヶ浦を除いて規模は小さいうえに、アングラーの数が多いという日本独自の人為的プレッシャーに常にさらされている事が多く、狭いフィールドでは波動の強いウォブリングアクションよりも、波動の強すぎないロールアクションの方がスレにくいという面を重視したからです。

ウォブリングアクションは波動が強く、遠くにいるバスに気が付かせる効果は非常に高い反面、波動が強いあまりバスに学習され易く、場荒れに繋がりやすい事が多々あります。

実際、琵琶湖を中心に流行しているマグナムクランクベイト、ボディサイズもさることながらウォブリング・ローリング共にアクションが非常に強いルアーの為か、琵琶湖以外での釣果はほとんど耳に入ってきません。

マグナムクランクが通用する広大な琵琶湖は、バスが捕食しているベイトのサイズが大きいと言うこともあり、強波動が効果的な時期が存在する数少ないフィールドなのかもしれません。


カオスダイバーと対極に位置するマグナムクランク、
時期によって波動の強弱で釣果に差が出るからバス釣りはおもしろい。


そして、引き感が軽いというメリットは、アングラー側の疲労軽減だけでなく、ロッドティップに伝わる水中の情報伝達が手に取るように分かり、引き感が軽いが故の障害物判別能力に長けていることです。

ラインから伝わる情報は、クランクベイトのブルブルとした引き感が第一に感じられ、リップ等に障害物が接触するとクランクベイトのブルブルとした引き感が一瞬止まると同時に、ロッドティップへ伝わる抵抗の強弱で硬い物か柔らかい物か、何か接触したなとアングラー側に伝わります。

しかし、ウォブリングが強くブルブルと引き感の重いクランクベイトだと、ルアーの巻き抵抗によりロッドティップがのされ、ロッドティップが曲がりきった状態になる程のパワーを手首で支えなければならず、自ずとパーミングに必要以上の力を入れてしまい、より繊細な水中情報を感じ取れなくなってしまうのです。

逆に、引き感の軽いクランクベイトであれば、パーミング時に必要以上の力を入れる必要が無く、またロッドティップの曲がりに余力が残っており、ルアーの引き抵抗や障害物接触時にロッドティップに追従性があるため、水中の状態を把握し易くなるとともに、バスのバイトを弾きにくくなります。

カオスダイバーは引き感がただ軽いだけでは無く、ブルブルとした明確な振動はロッドティップから手元まで伝わるように考慮して、ボディ内部のウェイト配分をしており、カオスダイバーが発生するハイピッチウォブンロールアクションは、ウォブリング4:6ロールアクションに設定しているため、非常に明滅変化が激しく、またアクションが細かい為に、あたかもベイトが猛ダッシュで逃げるときに起こす、全身が痙攣するような動きにも似ています。

カオスダイバーが発生するハイピッチウォブンロールアクションの恩恵かもしれませんが、比較的クランクベイトの苦手なシチュエーションであるクリアーな水質でもバスは躊躇無くバイトしてくるようです。




昨今のタックルの進化は凄まじく、新たなタックルの出現により、新しいルアーの使い方が考案されることがあります。

ベイトキャスティングリールもその一つで、ギア比が7:1なんて今では普通にラインナップされ、更に高いギア比の8:1や9:1というスピニングリールに匹敵するほどの高速リーリングが可能になってきています。

ファーストリトリーブでクランクベイトをダイブさせ、ウィードにタッチさせてウィードを丁寧にほぐし、クランクベイトを浮上させて喰わせるメソッドが琵琶湖では定着しています。

無論、高いギア比のベイトキャスティングリールを使ったハイスピードリトリーブなのですが、早巻きになればなるほど、普通のスピードでは起こりえなかったルアーのバランス破綻が起こりやすくなるため、シビアなトゥルーチューンが必要になってきます。




以前のブログでも触れましたが、ルアーの性能を最大限に引き出すには、リールのギア比、ロッドアクション、ラインのポンド数等のタックルセッティングがとても重要になり、中でも一番重要なのがルアーのトゥルーチューンと言う事を書きました。

ルアーは、一部のメーカーを除いて、出荷した状態のままで真っ直ぐに泳ぐルアーはほとんどありません。それはコスト面から出荷前に全数スイムチェックしていないという理由なのですが、ボディ内部にパーツを組み込みこんで、ボディ左右を貼り付けて完成するルアーの場合、いくら金型の精度を上げても、次工程でボディ左右を接着するために、ラインアイやフックハンガーに使われるエイトカンを、ボディの中心に固定させる事は大変難しいのです。

エイトカンを中心に固定できたとしても、エイトカンの形状や内部ウェイトの精度誤差により、ノーマルスピードのリトリーブでは問題なくても、超高速リトリーブでは真っ直ぐに泳ぐ事は稀であり、トゥルーチューンは必要になってきます。

修正方法としては、ルアーを泳がして曲がって行く方向と反対側にラインアイを曲げるというのが基本で、ルアーボディからラインアイが出ているタイプとリップにラインアイが取り付けてあるタイプによって、若干修正方法は違ってきます。


・ボディからラインアイが出ているタイプ。



ミノーやシャロークランクベイトに多いタイプの修正法方は、曲がって泳ぐ方向と逆方向にラインアイ軸の根元部分から曲げます。

・良い例(右に曲がって泳ぐ場合の曲げ方)
(見やすいようにラインアイからスプリットリングを外しています)

注意点として、ラインアイ上下軸を同じ角度に曲げること。


ボディ中心線と平行に曲げます。



・悪い例

ラインアイの上軸のみを曲げる。


上軸のみ曲がっているため、正面からから見ると
ラインアイが斜めになっている。



・ラインアイがリップに付いているタイプ



ディープダイバー系のルアーに多いこのタイプも、曲がって泳ぐ方向と反対側にラインアイを曲げますが、リップの中心線を軸にラインアイを平行に曲げます。

・良い例(右に曲がって泳ぐ場合の曲げ方)
(見やすいようにラインアイからスプリットリングを外しています)

リップの中心線と平行に曲げる。



・悪い例

ラインアイの先端のみを曲げる。


リップにラインアイが付いたタイプは、なぜ先端だけを曲げてはいけないかという理由なのですが、ルアーが着水から水中へダイブ、そしてスイミングからのルアーピックアップという一連の動作で、ルアーの姿勢が変わるために、ラインアイに接するスプリットリング又はスナップ等の位置が変化するためです。


ダイビング時
スプリットリングはラインアイの上部に接点がきます。


スイミング時
スプリットリングはラインアイ前方に接点がきます。


ルアーピックアップ時
スプリットリングはラインアイ上部に接点がきます。


このようにダイビング系に多い、リップにラインアイが取り付けてあるタイプは、ルアーの姿勢変化が大きいため、ラインアイの先端のみを曲げた場合、泳ぎだしのダイブ時とルアーピックアップ時に、左右どちらかに曲がって泳いでしまうのです。

ですからリップにラインアイが取り付けてあるタイプは、リップの中心線を軸に平行に曲げなければならないのです。

また、スプリットリングにラインを直結する時、スプリットリングの繋ぎ目がラインアイ側に来ない様に注意して下さい。

このスプリットリングの繋ぎ目、屈曲部分がラインアイ側に来るとスイムバランスが崩れることがあります。

この屈曲部がラインアイ側に来ると、
スイムバランスが崩れる事も。

スプリットリングの繋ぎ目はサイドに来るように結ぶこと!


後、トゥルーチューンは少しずつ曲げることと、湖上に出る前に済ませておくのがオススメです。湖上ではボートが流されている為に、ルアーを真っ直ぐ泳ぐように調整できたか確認しづらいためです。


それでは皆さん良い釣りを

 

 

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