こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。
9月も終わりに近づき、日に日に秋らしい気候になり過ごしやすい季節になって参りましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今年は天災に見舞われることが多く、釣行回数が減ってしまい、ストレスを感じている方も多く居られると思います。
もう、台風は勘弁してちょうだいと思っていた矢先に、「チャ―ミー」という可愛らしい名称の大型で非常に強い台風24号が日本列島を横断しようとしています。
また電車は朝から不通になるのか・・・
さて、夏祭りに合せ、発売を夏に予定していたマグナムフラットサイドクランク“小南ギルウチワ”
細かい仕様の変更や部材の納期等で大幅に遅れてしまい、9月末発売になってしまったのですが、
ここ最近の琵琶湖でも、未だにデカバスが釣れ続けているようで、このルアーのポテンシャルに驚いています。
この小南ギルウチワ、琵琶湖でプロガイドを生業にしている小南氏の発案で、小南ギルポップを自ら改造し、クランク仕様で使っていたのを量産化したのです。
| 小南ギルウチワのプロトの一部。 |
初期プロトサンプルが手元に届き、開封した瞬間「なんじゃ!このアンバランスなフックは!」と一際目につくデカフック。
単に「デカバス対応用にフックの大きい物を装着しているのだな」と思っていました。
早速、スイムテストを開始すると、ルアーボディが倒れ込むほどの強烈なローリングアクションを発生し、まるでウチワをパタパタと仰いでいるような残像を起こしたのです。
色々な速度でルアーを引いてみたのですが、ある一定以上のスピードになるとルアーアクションが破綻することがあり、最近流行りの早巻きで使うクランクではないと感じました。
後に、小南氏から詳しい使い方を聞くと、ミディアムリトリーブより少し早めにリールを巻いているようで、早巻きで使用するとローリングアクションが強くなって、ルアーのレンジが浅くなる為にファーストリトリーブはしないとのことだった。
また、フックの大きさのみならず、フックのシャンクの長い理由も直ぐに分かった。
フック間の距離が短く、フック同士の絡みは避けられない為に、敢えてロングシャンクにすることでフック間隔を近づけ、フック同士が絡まっても直ぐに絡みが取れるようになっていたのです。
| ワンランク大きいフックでバラシを軽減、
前後のフック距離を近づけている為、
フック同士が絡んでもスイム時にほつれます。
ワドルバッツやランボルトにも採用。 |
一見、アンバランスに見える小南ギルクランクのトレブルフック、実は小南ギルクランクのアンカーの役目を果たしていて、ある一定以上のリトリーブスピードで発生する強烈すぎる程のローリングアクションを抑制し、デカバス捕獲に大切なレンジキープを容易くしていたのです。
| フックがレンジキープに一翼を担っている! |
初期プロトサンプルのリップは、ポリカーボネイト製のプラ仕様でしたが、その後、小南氏はサーキットボードでリップを作製したものでテストした結果、ルアーアクションが更にキレのある物になると同時に、ロッドに伝わる振動が明確になったことで、急遽リップの素材を変更しました。
薄くても強いサーキットボードを使用することで、ワンランク薄いリップを使用出来る為に軽量化でき、またリップが薄くエッジが効いている為、水流の掴みが良くなってメリハリのあるアクションに進化しました。
| リップには、薄く高強度のサーキットボードを使用。 |
そして、再現性に一番苦労したルアー先端部分のカップ形状。
| ギルポップ(左)
ギルウチワ(右) |
プロトサンプルは、オリジナルの小南ギルポップのカップを小南氏自らカッターナイフで無造作に削ったものでした。
小南ギルポップのカップ形状は、凹み形状であるがゆえ、リトリーブ中に水流をもろに掴み、しかもエッジの利いたカップ形状で掴んだ水流が逃げにくく、ルアーアクションがタイトになってしまうという問題がありました。
| カップの最終形態。 |
小南ギルポップのカップの外側は全てカットし、カップの先端は丸みを帯びさせる事で、水流を適度に逃しているのです。
また、カップを残した理由に、リトリーブ時の水の掴みを良くし、ルアーの浮上スピードを抑制するだけでなく、カップ部分に着色された蛍光オレンジカラーによって、アングラー側からの視認性を良くすることで、ルアー浮上時やルアーピックアップ時に頻発するバイトに対応するためなのです。
| カップ形状な為、蛍光オレンジカラーは、
スレ傷等で剥がれることがありません。
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ラインアイに部分に装着しているスプリットリングとスイベルは、フラットサイドボディの空気抵抗によるキャスト時の回転で発生した糸ヨレを軽減するものなので、スイベルにラインを結んで使用して下さい。
| スイベルにラインを直結。 |
全国のフィールドで秋の収穫祭が始まる!!
それでは皆さん良い釣りを |