TOP50開幕戦七色ダム報告
史上稀に見るサドンデスゲームとなった開幕戦七色ダム。
ここを乗り切れるかで今年が決まると考えていた。
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トップ50開幕戦七色ダムが閉幕した。結果は平凡な15位入賞。しかし、一見平凡に見える順位だが、自分にとって開幕戦でのこの順位が意味する価値はまさに今年1年のモチベーションに劇的な変化をもたらす数字以上に重さを持つ結果だったと思う。


開幕戦使用ボートは60馬力制限が課された。
広い七色ダムだが連日60艇のプレッシャーは半端ではなかった。


2014年開幕戦となった七色ダムは、6年前の七色ダムとその様相は一変していた。何より一昨年昨年と続いた紀伊半島大水害の影響で、七色ダムのバスが受けたダメージは深刻だった。バスの生息数が三分の一に減ったのではないか言われるほど、確かにここ近年、ロクマルが釣れての七色ダムだったイメージからは程遠い状況となっていた。
プリプラが進むにつれ現状はTOP50の選手ほぼ全員が過去最難関といわれた旭川ダムの開幕戦より厳しいのではないかと口々に噂され始めた。プリプラでは8日間連続ノーフィッシュの選手も珍しくなく、現実、自分も最もバスを手に出来た温かい雨の日でさまざまな手を尽くしても3〜4尾がMAXだった。


プレッシャーがなければ鮎ロイドに反応するビッグバスもいるが、試合での再現性はなきに等しかった。


プリプラ終了時点で判ったことは、今回の試合は間違いなくリスクを避け毎日確実にギリギリキーパーでもいいから2尾以上持ち帰ることが上位入賞への絶対の鍵だった。
そして、直前に開催されたチャプターの結果から、T’S ONレンタルボート桟橋回りや大会会場であるスロープ60周辺がキーパーなら他のエリアに比べダントツに手堅いという事実が判明していた。しかし、ロクマルの宝庫というイメージを持つ憧れの七色ダムで、400g前後のバスを狙いライトリグで1日粘り続ける戦略が自分にやり切れる自信はなかった。
だが、今開幕戦で確実に上位に入るには、この戦略が最も手堅いことはまぎれもない事実。実際、今回の開幕戦の上位のほぼ全員が何かしらこの2箇所に絡んでいた。この2エリアに船団が出来、1日中タコ粘って誰かが5尾釣ってくる状況。そのウェイトは5尾でもMAX2500g程度(平均30cm以下)にしか過ぎないが、今回はそれがビッグウェイトになる。


プライドを捨ててでもマリーナ前の居つきキーパーをライトリグで狙うか悩んだが、フライトは36番。


開幕戦で予選落ちすることは、事実上、過去の実績から「AOYレース参加資格」を既に失うことに等しい。ここは石にしがみついてもでも1尾を毎日釣ることがプロとしての最良最善の方法であり、それを迷いなく選べるプロが若手ベテランを問わず近年非常に増えたことが、個性の強いプロのTOP50での生き残りをよりいっそう厳しく難しい時代にしているのだと思う。それほど1尾を確実に釣る「選択肢」が他にないのが、今回の開幕戦の難しさを物語っていた。


今期は押さえのソリッドスピニングを投入しているため、あえてライトリグ船団に挑む手もあった。
後は気持ちの問題なのだ。


結局、自分が選んだ選択肢は、雨が強い場合のみスクリューミノー(アライブ70改造)とジレンマの早巻きだった。この戦略は大雨以外には効き目はほとんどなく、そして、最後の選択肢が誰もが一度は挑むであろうサイトだった。1日の全時間を掛けてでも1尾のビッグフィッシュをサイトで仕留める。エリアは誰もが七色水族館と呼んでいた西の川流れ込みサンドバー周辺から西の川出口に掛けて。スーパークリアな50cmオーバーがごろごろ見える。しかし、その難易度は神経質なプリのフロリダ系とあって、並みの難易度ではない。サイトフィッシングでの勝負はあまりにもリスキーだったが、他に選択肢が全くないがゆえに勝負するしかなかった。


QC装着で泳層を自由に変えられ激飛ぶアライブスクリュー90は雨の練習では劇的効果だった。
試合には70mmを準備していたが…。


開幕初日、このような状況の中、自分が選択していた方法は、本音を言えばフライトがよければT’S ONマリーナ前でのハドルフライDSも選択肢に入れていた。しかし、フライトは36番。既にそこを通過する折に約10艇がレンタルボート桟橋を囲むように船団化していたため結局、自分は3日間を通じて西の川で1日1本を必ず仕留める気合でサイトに賭ける道を選んだ。


黄色い船でのサイトは不利だったが、初日は会心のゲームが出来た。


初日は最上流から順に野村、加藤さん、福島、青木、本堂と言った錚々たるメンバーが西の川エリアに集結した。しかし、この日は自分にとってチャンスが4度あり、そのうち3度をものにし3尾3キロ超えで4位という最高のスタートを切ることが出来た。これには今期から新たに採用した新偏光グラスが大きく貢献してくれた。


3本3キロ超えで4位スタート。この日のサイトは完璧だった。


しかし、2日目は雪が降るほどの大寒波来襲、2回の千載一遇のチャンスを2回ともミスし、絶望の淵に叩き落されるノーフィッシュになった。同じ西の川エリアで勝負していた初日トップの青木、初日10位のサイトの超人、福島も2日目ノーフィッシュに終わっていたことを見ても、この日のサイトフィッシングがいかに厳しいものだったかが解る。2日目、フライトが14番と早かった朝一番、T’Sオン桟橋横にある立ち木のピンが空いていながら、一度はスロットルを緩めながら「自分のスタイルではない」と思い直し西の川に入ったのが敗因だった。今のTOP50で勝つためには、昔のプライドは邪魔にしかならない。「今」はそれを躊躇していては生き残れない時代であることを、今後自分は肝に銘じなくてはならない。
3年連続開幕戦予選落ち、AOYレース脱落…脳裏をよぎる絶望的落胆に苛まれた帰着だったが、幸い2日目の状況は極めて厳しく25人がノーフィッシュ、初日ウェイトが効いてかろうじて22位に踏みとどまり予選を通過した。


西の川を昼前に諦め七色ほぼ全域を走り回った2日目。
自己嫌悪と絶望の入り混じる最悪の気分だった。


そして決勝は更に寒さを増し、降雪まで記録する悪天候。しかも開始直後、エレキが突然動かなくなるトラブルに見舞われ、西の川から会場に戻るアクシデント。交換した2台目のエレキまで動かないWトラブルで1時間をロスしてしまった。
しかし、自分が今回、唯一自分を褒めてやれるとすれば、これで心が折れなかった断崖絶壁での心の強さが戻ったことだろう。この日、5度の出会いを3度も掛けながらフックオフ、しかし2尾を持ち帰り辛うじて11位。総合成績を15位に押し上げ開幕戦を終えた。


短期決戦の決勝は朝一番、3連発でフックオフ、挙句にエレキが故障で帰着修理。
だが、それでも2尾をサイトで仕留め11位。


サイトでのキモは全て特殊なアプローチでの絶対精度にあった。それを実行するためあえて苦手なスピニングをやめ、得意のベイトフィネスで望んだことが奏功した。使ったタックルはインスピラーレ・ワイルドフィネスにLTZ930PRO-IKcombi、東レBFC11LB、ルアーはメイプルデプサーのジカリグ1.8g〜2.5g、インスピラーレ・ソリッドスピンに東レSFSS3.5ポンド・プロストレートノーシンカーだけである。


今回の使用ルアー。メイプルデプサーリーチのスルーリグとプロストレート。
プロストレートはオフセットフック仕様の場合、両端の溝部分をカットして使う。


15位と言う順位は可もなく不可もない平凡な記録だ。しかし、本来なら予選落ち確実だった予選2日目ノーフィッシュから、心折れず耐えて15位まで戻した価値はとてつもなく大きい。過去の実績からみて年間AOYを競える最低資格が開幕戦15位以内と考え、今回許される最低順位を15位に設定していた。ノーフィッシュという絶望的事態から、この順位に入れた価値は今後の試合に強いモチベーションをもたらせてくれた。今年はもう二度とノーフィッシュはしない。それが最後の結果につながる全ての鍵だと肝に銘じたい。


今期目標は5戦平均シングル。守った七色、次の霞北浦戦は5位以内を狙い攻めに出る。

 

 

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