2012年TOP50開幕戦サメウラ湖を終えて
確かな手応えを掴みながら、プラクティス最終日に見失ってしまった開幕戦。
トーナメントは誰にも平等に非情だ。



2012年TOP50開幕戦が終わった。
初日終了直後、既に貯水水位100%を超えていたサメウラ湖に、悪天候予報による会場水没の危険性がある事がダム管理事務所より報告された。それを受け協議の結果、急遽決勝が中止、競技日程を2日間に短縮する波乱の幕開けとなった。


悪天候、超満水による会場の水没が予測され、競技は2日間に短縮。
2日目は一か八かの勝負に出たが・・・。


そしてそれ以上に自分にとって2012年の開幕戦は、苦渋以外の何ものでもない最悪の幕開けとなってしまった。今季絶対目標としているTOP50首位奪還のためには絶対に外せない開幕戦。精神的にも肉体的にも復帰以来、最良のコンディションで臨めた開幕戦にもかかわらず、結果は39位。開幕戦からいきなり崖っぷちに指一本残した状態となった。


上位陣には失礼かもしれないが、ある意味、本命不在、2012年は大波乱の開幕となった。


自分の全ての失敗は、試合開催5日前、余りにも強いパターンを掴み過ぎたが故、もうこれしかないと自分で試合前に戦略を決めつけてしまっていたことにあった。春の変化の恐さを十分に知りながら、それを忘れさせるほど、そのパターンは自分にとって極めて新鮮で、なお且つ「その時点で間違いなく最強」に思えるものだったのだ。

しかし、ピークを感じたその日以降、そのパターンに僅かに陰りを感じ始めていた。にもかかわらず、それに目を瞑ってしまった自分が最低だった。明らかに威力が急速に落ち始めている事を感じながらも、本命エリアの再チェックを敢えて避けることでそのパターンにしがみついていた自分がいた。
「捨てる事が出来ない弱さ」、それが今回の敗因の全てである。急激な春の進行とバスの行動変化は自分の予想を遥かに超えて加速していたのだ。


試合4日前まではこのサイズが自由自在に釣れていた。
この釣法はまたいつか決め手となる可能性があるので当面は伏せたい。ルアーはニードルシャッド。


初日、そのパターンに9割の時間を裂き、12時半までノーフィッシュ。残り1時間半、ノーフィッシュだけは絶対回避すべくキーパー獲りに走り、辛うじて4尾を手にした。結果は35位。そしてこの日、決勝の中止を知らされる。
2日目、事実上の最終日、2日間で上位とのウエイト差を考えればこの日はTOPウエイト級を持ち帰らなければ、全く上がり目はない。メインパターンが通用しない事を知りながら、再びそのパターンの爆発力にすがった。そして朝一番、そのパターンでビッグフィッシュをミス。もはや別の展開への軌道修正は効かなかった…。


結果的にキーパー5匹2日間揃えるだけでも上位は確保できた試合だった。
気合が入り過ぎたが故の勇み足がなんとも自分らしい。


万全の体制、万全のメンタルで挑んだ開幕戦。それだけに何も言い訳をする理由も見当たらない。何十年、誰よりも多くの練習を必死にこなして尚、その努力を意にも介せず下される無情の結果。時として経験すらも足手まといになる。それが自然と、そこに生きる野生を相手にした「釣り」と言う特殊な競技の偽らざる本質なのだ。この競技に絶対王者は存在しない。だからこそ何が起こるか誰にも予測できない。
正直、今は開幕戦を落とした失望感、期待に応えられなかった責任感に凹みに凹んでいる。そして釣れない理由をどれだけ並べようとも、現実として同日同時刻、同場所、同じ条件で驚異的に釣ってくる人間が存在する事を思い知らされる屈辱感に苛まれている。復旧にはもう暫く時間がかかりそうだ…。
ただ、この溢れる本気の感情があるからこそ、自分にとってトーナメントが最上級のバスフィッシングである事実を再確認出来る。良くも悪くも、トーナメントでしか味わえないこの本気の感情こそが、今も自分がトーナメントを続けている最大の理由なのだろう。


どんなに練習しても、どんなに望んでも、自然は人間の都合など気にはしてくれない。
それでもその領域に近づきたければ、練習するしかない。


開幕ダッシュには完全に失敗した。しかし、昨年、地獄を見た完全試合の旭川ダム戦に比べれば、39位出発などむしろ上出来だ。オマケに今年は馬淵も福島も青木もスロースタートに付き合ってくれた。
まだ始まったばかりの今シーズン、勝負は下駄を履くまで解らない。2012年トレイルを終えた時、「今年はやっぱり最高の年だったわ」と言えればALL OKなのだ。今年は辰年、必ず波乱の年となる。


序破急、波乱の急展開に相応しい幕開け。必ず頂上まで這い上がってみせる。

 

 

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