ベイトフィネス最前線講座その(3)&御礼の巻
忙しい合間にも、エベッサンにはちゃんとお参り。
今年は試合で真の大漁満足を味わいたいです。



オフシーズンと言うのにこの所、新品の携帯電話のバッテリーが1日3回ぐらいあがってしまう程、異常な忙しさに参っている…。まあ、その成果が3月までには全て形となって現れるので、今が仕事の正念場ってとこなのだ。
まあその忙しい原因の1つが大晦日発売となった黒帯XIリアルファイト後篇の監修作業なのだが、並みのビデオとは違って半年分の密着画像だけに見るだけでも気が遠くなる作業なのである。
ただ、黒帯XIを発売する前は、なんせ久々の生粋トーナメントモノだけに、この手のDVDが売れるのかどうか、正直かなり不安だった。しかし、嬉しい事に発売約2週間で初版5000枚が完売、連休明けに増版決定と、日本のトーナメントに対する関心が再び高まってきている事に喜びを隠せません。このDVDはパフォーマンスではない、自分の本気のバスフィッシングの全てを曝け出すとともに、日本のトーナメントに人生を賭けている若者達の姿を知ってもらいたくて企画したものでもあります。今回このDVDを買って頂いた方には、本当に心から御礼申し上げます。

黒帯XIIリアルファイト後編では、マル秘プライベート映像も満載。
カレイドデジーノ・ベイトフィネスタックルも詳細解説しています。

そして現在監修中の後編は2月4日発売、前編を遥かに上回るスケールと迫力、そしてベイトフィネスの想像を超える破壊力とテクニックの全てを公開します。恐らくこのDVDを見た時、初めて本当にベイトフィネスを「流行」などと言う軽い言葉で済まされない事実に衝撃を受けてしまうと思います。自分で見ても激ヤバいです。ホンマに見せたくないのですが…これが仕事なので…。

結局、最大のピンチだった年末野池ロケを救ってくれたのも、
ベイトフィネス&アベラバ3.5gだった。
2011年はライトアクションロッド復活元年かも。

という事で、今回のベイトフィネス最前線講座は、余りまだ明かせないがリールのブレーキ性能について少しだけ公開しよう。

ズバリ、自分のレボエリKTFオーロラ&暁は、リール本体のシャシー(フレーム&スプール)やエンジン(1:76ハイギア)、シフト(クラッチ)に関しては、KTF最高レベルのチューンドマシーンである。ただ、これはKTFで市販されている機種に対し、超劇的にベイトフィネスの性能を左右するものではなく、メンテを前提とし市販品よりも安全マージンをやや削ったレーシング仕様である。

ただ、一つだけ違う事は「ブレーキ」である。このマグネットブレーキシステムに関してだけは、自分の癖なのかKTFユニットもZPIユニットも、「自分にはブレーキが弱過ぎる」のである。速ければ速い車ほど、絶対に一番必要なのがブレーキである。1000馬力のエンジンを積めても、止まれなければ意味がない。ましてベイトフィネス特化のリールは、ゼロヨンやドラッグレース仕様車の様なもんで、出足と伸びが命、止まる事はパラシュート(高度なサミング)で止めることしか考えてない様な部分がある。

同じ5〜6gでも、空気抵抗とフルキャストが前提のプラグのベイトフィネスはリールのセッティングが更に難しい。
しかし既にこれも解決済み。

確かに一発勝負のワンマッチなら、これでいいのだが、私にとってベイトフィネスは5g以下のルアーを「如何に雑に投げてもバックラッシュしないか」「如何に普通のテキサスやジグと変わらない感覚で撃ち続けられるか」の方が、結局大切だという結論になった。要は簡単にいえば自分が使っているセッティングそのままを、誰にそのロッドを渡しても、誰もが本当に直ぐに投げられてメチャ簡単…で驚いてくれるタックルである。ベイトフィネスタックルによくあるのが、取材等で自分がスマートに投げられても、「コレ凄いぜ!」と担当雑誌記者に渡してもなかなか上手く投げられず、見ているこちらがイライラする事が多い。記者は一般レベルの腕程度は持ち合わせているにもかかわらずだ。実際にピュアの元有名?プロだった営業マンですら、恐る恐るでしか投げられず、それでもお愛想で「凄いですねぇ〜」と言ってくるもんだから、「何が凄いねん?」と思わず突っ込んでしまう始末…。プロが絶賛するベイトフィネスのセッティングには、人によってはクラッチを繋ぐだけでスピンしてしまう様なF-1カーの様な部分が実際にあるのだ。

バックラッシュを気にせず投げる、軽いルアーを低弾道で投げられる事も大切だが、それ以上に重要なのはバックラッシュ率の低さだ。

スピン=バックラッシュ、この怖さをなくす事、自分のベイトフィネス再構築はここが最大の転換点だった。超軽量シャシーに弱いブレーキ、クラッチミートが一瞬では、よほどの腕をもったドライバーしかまともに走らせる事は出来ない。ましてやそれが12時間耐久レースとなれば尚更だ。
ピッチングも、室内や駐車場ならデリケートに低弾道で投げられても、いざフィールドに出れば風は向かい風、波も雨も降る。しかも大概、室内や駐車場で投げる時より、力むし振りも強く速くなる。ここでブレーキが利かない車は、如何にハイパフォーマンスでもまさに自爆するだけの暴走車になってしまうのだ。フィールドはサーキットではなく、むしろダートトライアルなのだ。

フィールドには予測不能な様々な環境変化が起こる。
私のベイトフィネスタックルの基本は、ストレスを最大限除去したタックルシステムである。

自分にとって必要な性能、それは全速度域で安定した4WDの様な回転、そしてポルシェのフロントキャリパーの様な驚異的制動力だった。すなわちベイトフィネスこそ、「超強力なブレーキ」が必要だと言う、今までのベイトフィネスとは逆の方向からブレーキセッティングを自分で変え始めたのが2010年10月頃からだった。
そして、ネオジム磁石と言われる最強磁力を持つマグネットを取り寄せ、リールを再起不能にする覚悟で様々な改造、検証を行った結果、自分なりにある結論にたどり着いた。そのノウハウはハンドメイドなので、現時点では自分で全てのリールを自分のためだけに改造を施しているのが現状である。ただ、このセッティングは自分にとっては最高の「ストレスフリーベイトフィネス」を実現した。かの記者も、営業マンも、僅か数投で「これは最高にいいですね〜」と言ってくれた。それはもうお世辞でも何でもなく、延々と試投し続ける姿が全てを語ってくれていた。


まだ見せられないが、基本は超強力で分厚い?磁力とそれを受け止めるディスクブレーキ?との
絶妙な距離コントロール。ドラムブレーキが理想なのだが・・・


このマグネットシステムの原型は、実際にシーズン中は偶然が生み出した「奇跡の1台」と呼んでいた1台リールから始まった。この1台をトレイルが終わるまで絶対にいじることなく大切に使っていたのが事実である。トレイルが終わるまではセッティングが二度と出なくなる事が怖くて何もいじれなかったのだ。その「奇跡の一台」が誕生したのが旧吉野川戦直前だった事が、大会トップウエイトを出せた最大の原動力にもなった。

旧吉野川戦、初日5200g、2日目大会トップウェイト6400g、
監修していても鳥肌立つ程、キャストからランディングまでキレてます。
見せたくないけど、見せたいジレンマな凄さがあります。

しかし、不思議な事にサメウラ戦頃から、この奇跡の1台の調子が狂ってくる。その不調は芦ノ湖でのエリート5公式練習時に最悪に達していた。止もえず、この時、試合前に全てのセッティングを思い切っていじってみたが、完全に裏目に出てしまった。
まだこの時点では、ネオジム磁石が「温度変化で磁力が変化する」事に気が付いていなかった。遠心ブレーキが雨で致命傷を受けるのと同じで、まさかマグネットの磁力に気温変化が現れるとは考えもしていなかった。気温36度の試合と、0度を記録した芦ノ湖、マグのセッティングをもう一度根本からオールシーズン対応に考え直すいいキカッケとなった事件だった。

ジグワーム系のみならずハードベイトから0〜38度までの温度変化、風の強弱などに広く対応できるブレーキ力。
使える磁力の「幅の広さ」がストレスのないベイトフィネスでは重要なポイントになる。

そして今、この今江式超強力可変ブレーキシステムは熟成され、円熟の域に達しはじめている。2月のショーには間に合わないが、その片鱗は黒帯XIIリアルファイト後編特典映像で見て欲しい。そして3月中にそのパフォーマンスの本当の凄さを実際に映像でお見せできると思う。



矢野さんもビックリのザ・ヒット後編でのラストフィッシュは、ベイトフィネスならではの会心の1尾だった。
2011年4月には真のベイトフィネスタックルシステムが完成しそうだ。

 

 

TOP OF THIS PAGE