レクイエム(オマケはコダワリのローカルカラー)の巻
たくさんのお見舞い&お祝いメール、ありがとうございました。 バスフィッシングの神様に、まだまだ天命を全うしなさいと言われているようです。頑張ります!! 「等価交換」…鋼の錬金術師のテーマとなる言葉だが、最近、その言葉の重さを痛感する。自分にとって至上の喜びも、時として、その影に多くの犠牲と悲しみが等価の如く潜在する。光り強き所に影は濃く、山高き所に谷は深い。華やかな勝利の影にも、累々たる失望と落胆、報われぬ努力、叶わぬ想いが渦巻いている。それはまさに紙一重のパラレルワールド。無から有は作れない。 自分は今回落胆のドン底から救われた。しかし、その歓喜の影で救われなかった人もいる事を知っている。不運と幸運、いったいその差は何なのか、数多くのお祝いメール、そして電話を頂き感激しながらも、素直に喜べなくなった自分がいる。「癌」と言う病を経験し、一喜一憂の想いの中、自分の中で何かが変わった。良いのか悪いのか、弱くなったのか優しくなったのか、ここ数年、勝負師としてそれは致命的弱点になったかもしれない。しかし、今、再び自分に与えられた幸運がきっと何かの対価である事を肝に命じ、精一杯、明日を強く勇気を持って生きたいと願う。大袈裟な話に聞こえるかもしれないが、今の心境は過去にもないほど強く、迷いのない決意に満ちている。今日からはここ数年、少し弱気になり過ぎていた自分にサヨナラである。 「等価交換」「鋼の錬金術師」
さて、と言う事で重い話の後は楽しいローカルカラーのお話でもしてみよう。実は思う所あって、来季に向けてこの冬はルアーのカラー表現にもう一度本気でコダわってみようと思う。と言うのも、最近、全国各地を試合や取材で回っていると、ローカルフィールド固有の発展を遂げた独特のカラーや特産品(特別にそこだけで効くようなモノ)の数々に出会い、そのコダワリに驚かされたり、感心したりするものがとても多くなってきた。 しかし、いざそう言ったファジーで感覚的なローカルの声を製品に反映しようとすると、微妙なニュアンスが誕生の背景を知らない工場の制作現場にはなかなか伝わりにくい。ハードルアー国内自社工場一貫生産を誇るイマカツですら、やはり「伝言ゲーム」的生産体制では難しいニュアンスが多いのも事実なのだ。
御存じの通り、今季後半からイマカツではTOP50スタッフやローカルスタッフに、最も自信のある色や音質を正確に聞き取り調査し再現、そのカラーや音質に保証を付ける意味で彼らの似顔絵シールを貼ると言う、「コダワリのキャラクターカラー」展開を試みている。彼らの「コダワリ」を満足させるレベルで表現するためにも、モノ作りの初心に戻るためにも、もう一度自らエアブラシを手にする気持ちが強くなったのだ。
そんな中、つい先日も、虎バスチームが深夜まで工場に遊びに来ていた。そんな中、彼らに塗装のノウハウを教えていると、これまた楽しくてノリが良いのか、思わぬ大当たりカラーが生まれるものだ。やはり、ルアーは頭で作るのではなく、楽しい遊び感覚の中から斬新な発想が生まれてくるものなのである。
また、時としてローカル取材の折にもこれまた奇天烈極まりない妙なカラーと出会う事もある。まあ、自分の発想の中にはないカラーリングなので、これを全国区に問うた場合、個人的には結果がどう出るのか興味シンシンではある。(ちなみに私は波長の短い赤系プラグがイマイチ苦手です…)
そして、現在一番こだわって私が塗装研究しているのが「ワカサギ」。ワカサギに関しては檜原湖や高滝湖、山中湖等が有名だが、最近は霞ヶ浦水系でも非常に多く繁殖し、メインベイトとなっている事も多々あるようだ。これもまた各地で微妙に色の違いがあって、今年は檜原、高滝では本物のワカサギの写真を何枚も撮って研究した。私のカラーリングの極意は、ただ見た目をコピーするのではなく、そのワカサギの特徴をクローズアップし強調するトーンを持たせるように心がけている。全く同じリアルに作っても、あくまでプラグ化した時、本物に見えて尚、本物以上のアピール力を発揮する事が理想である。
そう言った意味では少し変わりダネと言うか、この冬どう言った結果が出るのか非常に楽しみなのが、たぶん世界初?ではないかと思う「リアルフィニッシュ・モグラジグ」。本来はモグチャ用に作ったものなのだが、こちらは既に実釣効果抜群。むしろ今は普通にジグとして使うとどうなの???と言う好奇心がムズムズしている。
モグチャと言えば最近、琵琶湖でシークレットブームとなっている事は前回書いたが、実は琵琶湖でもう一つ、意外な人気カラーがあった事を最近初めて出荷データと琵琶湖のガイド達からの話で知った。 自分自身、イマイチパッとしなかったと思って最近は忘れていた存在だった「河童フラッシュ」だが、こちらも琵琶湖では400Rののみのシークレットカラーとしてかなり愛用されていたようである。何でも天面からの光を受けてウィードの中で目立つ、唯一の上方向フラッシュカラーと言うのが理由だそうだ。廃番にしようとしたらエライ反対されて初めて知った琵琶湖の七不思議である…。
またモグチャ同様、モザイク300Wは琵琶湖ガイドや虎バスチームから、現在の琵琶湖でウルトラ大絶賛の評価を頂いている。もともとラリーの試合用ワンオフで作った500R2のチューニング版だったが、発売以来、意外にも売り切れ続出、予想以上の評判に自分自身が驚いている。フルサイズのクランクならではの逆風でも圧倒的な飛距離が出るだけでなく、ワインドリップ独特の柔らかい動きと抜群のウィード抜けの良さ、意外なほどの巻き抵抗の軽さが琵琶湖にマッチしているのが理由の様だ。無論、警戒心を和らげるウッドクランク風ソフトタングステンサウンドも、ラトルルームの広いモザイク300W、200Wにはベストマッチしたようだ。
本来あまり量産を考えていなかったモザイクシリーズだが、こちらも久々に全色、マスターを自分でブラシ塗装を始めたシリーズでもある。ただ、このモザイクシリーズは重心移動スペースが広く、私の好きなプレート版を作るとどうしても内部構造丸見えの「人造人間キカイダー(古っ!!)」風になるのが嫌だった(河童を廃番にしようとした理由もコレ)。そこで考えたのが写真の「両面塗装法」。重心移動なのに反射プレート版内臓、しかもキカイダーじゃない。
なんで今までやらなかったの?と思うほど、自分のサボリを痛感する結果にはなったが、今後、プレート入りキカイダーシリーズは随時、この新塗装方式、そしてソフトタングステンを使った衝撃音緩和方式を採用していこうと思う。御期待下さい。 |
||||||||||||||||||||||||