次世代パワーフィネス「スピン・クランク」システム完成の巻
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さて、今回は今年の総決算ともなった遠賀川戦の詳細をご報告しよう。遠賀川は九州でも最もトーナメントが多く、最もプレッシャーも高いフィールドだが、日本でも数少ないベイトロッド、もしくはハードベイトでライトリグ船団に十分対抗できるフィールドでもある。そして、ハードベイトはライトリグと違い、使い手の技量一つでゴミにもなれば強烈無比な武器にもなる。もはや繊細を極めるライトリグでしか勝てないかのように思われがちなTOP50だが、今回の試合は今でも十分、3日間ハードベイト一本で勝負ができることを証明できた価値ある試合だった。
今回、私がメインに考えていたのは直前プラで安定感のあったIK-250と、プレッシャーが強烈になった時のための「ISワスプ55(新製品)」と「スーパーキラービル」だった。そして狙いは今回、以前もここで書いたとおり遠賀川に大量発生していた「ハス」をキーにしたパターンだ。琵琶湖育ちのアングラーならお馴染みのパターンだが、遠賀川では25cm近いハス(ケタバス)を喰う巨大なバスは少なく、むしろハスが喰っている小さな謎の小魚をバスも共に追っているようで、中にはハスを喰うビッグバスもいるという感じだった。今回は遠賀川王道、沈み岩の「エビ喰いバスのパターン」はあまりにメジャーになり過ぎ、ピンスポットでのバッティングが多発しそうだったため、敢えて私はこの「ハスパターン」をメインパターンに組んでみる事にした。
この泳ぎ回るハスの群れがどこのリップラップやハンプに群れてくるのか、天候によって接岸するのか離岸するのかがポイントで、群れに当たれば必ずと言っていいほどまずハスの連発ヒットが起こっていた。そしてそこでハスはあまり喰わないが、バスは喰うハードベイト、そしてカラーが明らかに存在することに気が付いたのが今回の大きなキモだった。ハスがイレグイになるハードベイトとカラー、バスが優先的に喰ってくるハードベイトとカラーが存在したのだ。そしてこの気まぐれなどこにいるか分からない神出鬼没のハスの群れを速攻で全域から探し出す事こそ、まさにハードベイトにしかできない仕事だった。
今回、ハスを見つけるために最も効果的だったのがスレッジ7、スーパースレッジ、ウルトラスレッジのシルバー系だった。そしてそのハスの多いエリアでバスを選べたのが今回試合本番では「IK-250」と「ISワスプ55」だった。そしてこれだけは確実に解ったことがIK-250もIS/WASP55でも「ライトニングブルー」のバス率が圧倒的に高確率だったことだ。
ISワスプ55は12月発売予定の新製品なのだが、先行のISワスプ50に比べ潜行深度がやや深く、ほぼスーパースレッジと同じ1.5〜2m弱。しかし、55にサイズアップしたことにより同サイズでは超破格の飛距離と直進飛行安定性をもちながら、かつてのスピンムーブを彷彿させる強いウォブリング設定に設計している。
シャッドではあるのだが、むしろ動きは「豆クランク」と私は捉え、今回のプレッシャー対策用の「フィネスクランク」と位置付けていた。そして今回のクランキングパターンには面白い傾向がありIK-250でもISワスプ55でも、「ボトムに当てすぎない事」と「ちょっとしたトリック(来年試したいので秘密です。)」が大きなキモになった。それがハスとバスを分ける明暗になったことは間違いない。
結果から言うと、初日は雨が降る寸前の曇り。この日は朝一、上流で手堅いリミットを考えライトリグに走ってしまい1時まで豆3匹…。しかし、風が吹き出した午後、中流部沖のハンプ周りでIK-250ライトニングブルーに怒涛のラッシュがかかり瞬時にリミットメイク、そして次々と入れ替えることに成功した。そして終了寸前、キロオーバーのキッカーを「バクラトスイマー」で仕留め3キロ越え、8位スタートとなった。
正直、午前中の弱気な攻めを悔いた。そして2日目、この日は晴天無風、さすがに沖のハンプはプレッシャーが尋常でないレベルまで高まったため、朝からISワスプ55でプレッシャーの低い護岸バンク絡みのシャロークランキング。握手ができそうなくらいの距離で護岸から見守るファンの目の前で、9時半にはワスプ55のみで3キロを越えた。その後、レンジを1mほど下げスーパーキラービルにチェンジ、順調にウエイトを伸ばし3600gをマーク、単日5位に入った。そしてプレッシャーも最高に高まった晴天の最終日、この日はプレス乗船(バスワールドTSR取材)だったが、もはやライトリグなど出来るはずもなく朝一番からワスプ55を巻きまくり11時にリミット達成。最後の最後に初めてガルプワッキークローラーをネコリグで使い今大会唯一の1本をライトリグで入れ替え2540g、帰着時間が1時までと短かったため条件が揃わず厳しかったものの、ほぼハードベイト一本でこの日も押し通すことに成功し今年ハードベイトでJB桧原湖戦に続き2度目となる表彰台に立つことができた。
そしてその陰の功労者として今回、私のお立ち台復活に最大の貢献をしてくれたのが、今回ついに完成を見た4軸グラスロッド、「カレイド・ハスキーワインダー」と同じく7フィート版ハードスピン「カレイド・スピンコブラ・クワトロセブン」だった。特に今回、4軸を纏った世界初のグラスロッド、ハスキーワインダー72は、間違いなく私の中では世界最高のグラスコンポジットロッドとして遂に完成を見た。どうしても完璧に満足のいくものができず、開発から3年以上が過ぎていた幻のハスキーワインダーだったが、4軸クロスとのコンポジットでまさに全ての不満が一気に解消、これ以上ないクランキングロッドとしてようやく完成した。
またスピニングタックルではリールに以前、高知でのシイラ釣り用に買った海用のステラ3000番ハイギアをコンバートした事が非常に大きな意味をもった。バス専用の超軽量スピニングに比べ、太いラインでの糸ヨレの少なさ、飛距離はもちろん、ベイトリールにも劣らない巻きあげの力強さ、高速でもティップがブレない巻き心地は、豆シャロークランクのスピニングクランキングとしては最高の使い心地だった。イマイチしっくりこなかったスピニングタックルでのクランキングが、ベイトタックルと変わらない非常に滑らかなフィーリングとリズムで1日中違和感なく続けることができた。
今回の一番大きな収穫は素晴らしいグラスロッドの完成と、パワーフィネスの新しい形、「スピン・クランクシステム」を完成させられたことにあると思う。スピンコブラをベースに更に7フィートハードスピンを開発していた理由は、飛距離と竿の上下でプラグの潜行水深により大きな幅を持たせたかったからだ。もはやフィネスにおいてもタックルの行き過ぎた軽量化は時代のニーズではなくなった。数十グラムの差ならば軽さより機能、トラブルの少なさを優先して選ぶ時代になったように思う。
今回の試合は5位と言うギリギリの結果だったが、ゲームメイクとしてはかつて土師ダムで、クランク一本で表彰台に立った時と同じくらい充実感のある試合になった。自分らしいゲームでこんなに早く再びTOP50の表彰台に返り咲けるとは自分でも思ってもいなかった。後は今年、完全復活の最終目標としたエリート5出場、ファン投票は10日(月)消印有効まで。何卒、もう一度、あの舞台に皆さんの力で返り咲かせてください。
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