特定外来生物被害防止法の規制リスト入り決定と今後の対応について



1月31日、いままでの日釣振の努力の甲斐なく、環境大臣の鶴の一声によってラージマウスが特定外来生物被害防止法の規制リスト入りが決定した。今回は、その詳しい裏事情と、今後我々がどうして行くべきか、私なりの考えを書いてみたい。

「フィッシングショーでの動向とまとまらない業界人」

先日の国際フィッシングショーでもこの問題について様々な動きがあった。
私もこの日は業者日の朝から会場入りし、11時から開かれた日釣振の説明会に参加していたが、正直言ってこれ程までに参加者が少ないとは思わなかった。てっきり黒山の人だかりかと思いきや、有名プロのセミナーよりも少ない業者の集まり具合に衝撃を受けた。如何にこの問題が人任せであるか、勝手気ままな釣り人が如何に団結力のない人種かと言うことを嫌と言うほど痛感した。
 確かに、色々なブースでこの問題に関する行動がとられていたが、私が受けた印象は余りにその行動がバラバラで、一致団結どころか一体何を今すぐすべきなのか、私にすら解りにくい物だった。ましてや一般のアングラーにしてみれば各セミナーで違った方法論を唱えられてまとまりがつかず、なじみのない難しい手法を混雑した会場で教えてもらっても正直いって混乱しただけに終わってしまったような気がする。各自がそれぞれにこの問題に対し真剣に取り組む姿勢はいたいほど解るのだが、それがあまりにもバラバラすぎて一般アングラーが何処についていって何をすればいいのか、焦点が完全にぼけてしまっている。ただでさえ勝手気ままが信条の釣り人なのに、業界人がこの有様では10万人のパブコメなどまず不可能に思えてしまう。逆に頼みの綱の一般アングラーが楽しみにしてやって来たセミナーも白けてしまって、暗い雰囲気が更に暗くなってしまったようにも思えた。
 それぞれが必死に何かをしたい気持ちは分かるが、それ以上に重要なのは業界もアングラーも一つにまとまって、みんなが持つ力を一点に集中させて一点突破しなければ、鉄壁の国家法律に風穴を明けるなど絶対に不可能である。確かに方法は幾通りかある。しかし、それもまとまって一丸となったときの「多数」の威力あってしかなしえないことだけは明白な事実なのである。そしてその数は決して夢の数字ではないのに、今ではまず実現不可能な数字にすら思えてくる。

「日本釣り振興会をもっと知って欲しい。」

 日本には今、日本釣り振興会と言う公式法人組織がある。これは釣り具関連業者の代表で組織運営する団体だがこの中で外来魚対策委員会というのがあって、その会長を高宮氏が務めている。また、全日本釣り団体協議会という釣り人の代表が組織するもう一つの公式団体も存在する。こちらはこの中に所属する滋賀県釣り団体協議会(STK)が2年前のリリ禁問題以来、加藤誠司氏が会長になり外来魚問題に取り組んできた。
 表だってその行動が公になることが少ない日釣振だが、高宮氏のこれまでの努力には本当に頭が下がる。高宮氏はバスアングラーでもなければ、バス釣り道具を専門に扱う業者でもない。純粋に我々バスアングラー、そして業界のためを思ってこの重責を担い、正に孤軍奮闘としか言いようのない孤独な戦いを続けて来られた。環境省、釣魚議員連盟の国会議員の方々と幾たびにも亘る交渉を続け、19日の決定先送りまでこぎ着けたのは、紛れもなく高宮氏他、日釣振の水面下での戦いによるものである。21日の大臣発言が如何に無念だったかは想像に余りある。しかし、それ以上にショーでの業者間説明会の予想外の少なさのほうがより無念だったのではないだろうか。自分も含め、バスアングラーは余りにも人任せにしすぎていたのではないか。誰かが何とかしてくれるでしょうと…。
 ただ、日釣振と言う存在が我々アングラーから遠い存在であったこと、その存在すら知らない一般アングラーが殆どだと言うことが、日釣振の後押しが出来なかった最大の原因でもあるだろう。私自身は今後、個人的には日釣振をバックアップする行動で一本化するつもりでいる。

「NHKが報道した微妙な内容と佐賀県&芦田川の緊急事態」

 それではもはや手遅れなのか?。決してそう言うわけではない。
31日午後12時、最初の一方がNHKで放送された。その内容は注目に値する物である。
NHKはこの規制リスト入りの報道を大きなテロップと共にこう流している。
「キャッチアンドリリースは認められるが、オオクチバスをリストに指定し原則規制」。
この文言は非常に微妙な意味を持つ。まずキャッチアンドリリースを認めるとしている点は、釣り自体を規制する目的ではないと言うこと。即ち、オカッパリでバスを釣っても離してよろしいと解釈できる。そして原則規制と言うことは、単に規制だけではなく「例外」が認められると解釈することが出来る。しかし、NHK以外でここまでハッキリとこの文言を報道したTV局は少ない。殆どが「規制リスト入り決定」だけの報道になっている。

 このNHKの報道が何を意味するか、それは環境省が日釣振の努力を最大限配慮し、決して「釣り禁止ではない」と言うことを釣り人に理解させるための苦肉の報道のような気もする。原則規制である限り、場合によっては例外を認めるケースがあるかも知れないと言う含みを残したことは、この問題が決してまだ完全決着したわけではないと言うことを示唆しているとも言えるだろう。ただ、喜ぶのはまだ早い。完全決着とは、今後、国の法律が決まった後、各県の条例に委ねるという環境省の責任回避の文言とも取れるのだ。即ち、国ではキャッチアンドリリースは規制しませんと言っておいて、県条例で滋賀県のようにリリ禁を決めればこの法律は完璧になってしまうのである。すでにこの法律の施行を待たずして佐賀県がパブリックコメントを募集した後リリ禁を決めようとしている。今日入手した情報では芦田川がリリ禁へ動き出したという。今後こういった動きは加速度的に緊急事態へと発展していくだろう。

「釣り人人口300万人、されどパブコメ7000件…」

 では我々はどうすべきか。まだ4月の閣議決定までは完全決定とは言えないが、事実上バスフィッシングの未来は各県、各自治体の判断に委ねられるセカンドステージへと移行している。この流れを大幅に変えるためには2月中旬から行われるパブリックコメントの「数」だけが残された手段である事は間違いのない事実だ。しかし、ここで大きな問題が残る。それが先に書いた「バラバラの釣り業界、バラバラのアングラーが果たして一致団結できるのか?」である。
バス釣り人口は300万人と称されている。しかし、7月の特定外来生物被害防止法のパブコメではたったの約7000件(賛成はたったの300件だったが…)、琵琶湖のリリ禁パブコメでも2万件。環境省を動かす為には絶対必要数が最低10万件と言われているが、今のままではまず到底この数字は達成できないだろう。しかし、もし達成でき、20万件近くにも及べばこれは前代未聞の驚異的数字となり、国も無視できる数字ではなくなるのである。だが、300万人いてたった10万人も集まらないのが釣り人なのである…。
今絶対にやらなければならないこと、それは最低10万人のパブコメを確実に集めること、それでもダメならそれ以上のバスアングラーの署名を集めることの出来る方法を考え、日釣振のバックアップが出来る体勢を短期間(最悪4月閣議決定までに)に作ることなのである。そのために一体何をすべきか、ここからが本題である。

「我々が今すぐに出来ること、やらねばならない幾つかの方法」

 方法は幾通りかある。一つは先月発売の各雑誌エバーグリーン広告等に記載された、日釣振の会員への応募である。実際はこれが最も効果のある方法だ。ここで会員が10万人集まればまず確実に原則外の例外を勝ち取ることが出来るだろう。しかし、この会員になるには1人2000円の会費が必要になる。バス釣りが大手を振ってできるならこれは決して高い金額ではないが、果たして今の現状で何人がこれを払ってまで入会してくれるかは、残念ながら、悲観的である。
 もう一つは釣りチャンネルで本山氏が訴えている陳情書と言う手がある。詳しくは釣りチャンネルのサイトを見て欲しい。この方法は効果的ではあるが、説得力のある文面をしっかり書き切れるか、そして、果たして10万人もの不特定のアングラーが本気で行動してくれるのかが一番問題である。

 そして最後の方法が、昨夜、STKの加藤会長と話し合った案である。現在、STKメール会員(関西では詳しくルアーニュースに何度も書いているのでなじみがあるのだが、滋賀釣り協で主催しているサイト、stk@lin.acへ空メールを送るとすぐに2択式アンケートが帰ってくる。これに答えるだけで登録が完了し、以後、STKから外来魚問題のリアルタイム報告が送られてくるもの。同時に、登録者はいざというときに署名と同じ効果を持つサイト。)はフィッシングショー東京で告知した甲斐もあって、更に増え、2万300人の登録者になった。恐らく現時点でこれ以上に数のまとまった組織はないだろう。しかし、このメール会員組織も3万人を越えてしまうと、サーバーの容量の問題から同時配信が困難になってしまう問題が発生している。
 元々このメール会員は、琵琶湖が更に窮地に立ったときに備えて滋賀釣り協が始めたのだが、加藤氏との話し合いにより、既に2万人以上の会員を持つこのサイトを滋賀釣り協だけのサイトではなく、全国のバスファンに今の問題をリアルタイムに最速配信し、同時にパブコメに備え瞬時に多数の意見、署名等を求めることが出来る全国バスアングラーの相互緊急情報交換サイトに拡張しようと言うことになった。
 ただし、このシステムを組むためには毎月かなりの経費と人件費がかかるため、それを有志のメーカーで負担し、なんとしても最悪4月までに10万人(実質あと8万人)の会員を持つ全国組織のバス釣りを本気で守っていきたい人たちの組織作りに挑戦しようと言うことになった。
 無論このサイトは完全に釣り人主体の中立サイトであり、宣伝や商売とは全く無関係なボランティアサイトである。そして滋賀釣り協と連携し、登録メンバーの代表は日釣振興会のバックアップ組織として最前線の活動を後押しすることを目的とする。無論、参加無料であり、財布が許すなら同時に日釣振の会員になってもらえれば更にその力は倍増する。

 現在、このサイトの立ち上げにどれくらい時間がかかるかはまだハッキリしていない。しかし、一刻を争う今の状況で、有志メーカーの協力次第では神業的スピードで立ち上がる可能性もある。詳しくは今後、この場で、もしくは「バッシング瓦版」、その他リンクを張ったサイトで公開するように頑張って行くつもりだ。果たして本当に10万人組織を作れるかどうかは解らない。しかし、何かをやらなければ全てが終焉へ向かっていくことだけは確かなのだ。いまはただ、10万人を絶対に集めること、そしてパブリックコメントを成功させること、それが全てだ。無論、いまもSTKメール会員は継続募集中だ。待てない人はまずSTKに今すぐからメールを送って欲しい。既に送ってくれた人は回りの誰かを1人でも2人でも誘って欲しい。全員が2人誘ってくれただけで6万人にもなるのだから。
 仮にパブコメが時間が足らず、10万人を切ってしまったとしても、10万人以上の会員が集まれば、今後各県が県条例を考え始めた時にも、それを譲歩してもらうための絶大な手段になる。このページを読んでくれた人、一人一人にお願いします。今すぐSTKに空メールを送って欲しい。たったそれだけのことで大きな力が生まれてくるのだから。何卒、何卒、お願いします。



 

 

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